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12月分機械受注(除船電民需)は前月比+1.6%と、2ヵ月ぶりに増加に転じる
製造業・前月比+2.1%と4ヵ月ぶりの増加、非製造業前月比▲2.5%と2ヵ月連続減少
3ヵ月移動平均▲0.6%と4ヵ月連続減少。2ヵ月連続して「足踏みがみられる」の判断に
1~3月期見通し前期比+4.3%には1月~3月前月比+3.2%必要。前月比+1.0%で+0.1%
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●12月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+1.6%と、2ヵ月連続の増加になった3ヵ月移動平均は前月比▲0.6%と、11月分の前月比▲2.6%からマイナス幅が縮小したものの、4ヵ月連続減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲6.6%で2ヵ月連続の減少になった。
●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回11月分では、非製造業の運輸業・郵便業で1件(鉄道車両)、金融業・保険業で1件(電子計算機等)の計2件だった。今回12月分では、非製造業の運輸業・郵便業で1件(鉄道車両)だった。
●12月分製造業の前月比は+2.1%と4ヵ月ぶりの増加になった。12月分の製造業では17業種中、非鉄金属、造船業など6業種で増加した。一方、繊維工業、金属製品など11業種が減少した。
●12月分非製造業(除船電民需)の前月比は▲2.5%と2ヵ月連続の減少になった。電力業の大型案件は4ヵ月ぶりで該当あり、原子力原動機1件だった。電力業の前月比は+10.2%と2ヵ月連続の増加となった。12月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲5.6%と3ヵ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、興行・採石業・砂利採取業、リース業などの6業種が増加で、運輸業・郵便業、金融業・保険業などの6業種が減少となった。
●大型案件は、11月分では、全体で4件だった。前述の2件(運輸業・郵便業、金融業・保険業)の他は、外需で2件(火水力原動機2件)だった。今回12月分では、全体で6件だった。前述の2件(運輸業・郵便業、電力業)の他は、官公需の地方公務(その他産業機械)で1件、外需で3件(鉄道車両2件、船舶1件)だった。
●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は12月分前月比▲0.1%と2ヵ月ぶりの減少となった。前年同月比は+4.5%と3ヵ月ぶりの増加になった。
●外需は、12月分の前月比が+16.2%と2ヵ月ぶりの増加になった。前年同月比は+11.6%で3ヵ月ぶりの増加になった。
●内閣府の基調判断の推移をみると、22年4月分では、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」へと4ヵ月ぶりに上方修正された。5月分・6月分・7月分・8月分と、「持ち直しの動きがみられる」の判断が継続したが、9月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正され、10月分では判断据え置きになった。前回11月分では、持ち直しの動きが外れ、「足踏みがみられる」に判断がさらに下方修正された。11月は製造業・非製造業とも前月比減少となったこと、3ヵ月移動平均の前月比が3ヵ月連続減少したことなどが要因だった。今回12月分でも、「足踏みがみられる」に判断が据え置かれた。12月は前月比増加になったものの、3ヵ月移動平均の前月比が4ヵ月連続減少したことなどが据え置きの判断材料になったと思われる。
●機械受注(除船電民需)の10~12月期は前期比+3.6%の見通しであったが、実績は前期比▲5.0%と見通しを大きく下回った。機械受注(除船電民需)の10~12月期・前期比実績は2009年(平成21年)から21年までの13年間でみると、上振れ9回、下振れ4回と上振れしやすい傾向にあったものの、22年は下振れた。
●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは+4.3%である。23年(令和5年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率100.3%をかけたものである。22年4~6月期の達成率が109.4%と高かったため、7~9月期、10~12月期が100%割れにもかかわらず、3四半期平均の達成率が100%超になっているので、単純集計値より前期比が少し嵩増しされている。但し、その影響を除いてもプラスの伸び率なので、企業の設備投資意欲の底堅さは感じられる数字だ。1~3月期の前期比実績は09年(平成21年)から22年までの13年間でみると、上振れ8回、下振れ6回であり、どちらもありえる可能性がある四半期である。1~3月期の前期比見通しの+4.3%を達成するためには、1月~3月の各月分が前月比+3.2%が必要である。各月分が前月比0.0%なら1~3月期の前期比は▲1.9%になる。各月分が前月比+1.0%なら1~3月期の前期比は+0.1%になる。なお、来月1月分の公表時に季節調整替えが行われ、過去に遡って季節調整値は変更される。
●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、22年3月43.8(回答したウォッチャー8人)、4月37.5(同4人)、5月37.5(同6人)、6月28.6(同7人)、7月42.9(同7人)、8月46.9(同8人)、9月43.8(同4人)、10月51.1(同7人)、11月35.0(同5人)、12月45.8(同6人)、23年1月42.9(同7人)と推移している。1月では「半導体関連の取引先からは設備投資抑制の話が聞こえている。特にメモリ関連で投資抑制の可能性があり、対中輸出規制の関係で中国市場のリスクも高まっている。半導体設備の市場はやや悪くなっている。(東北:電気機械器具製造業〔企画担当〕)というコメントがあった。
●一方、設備投資関連・先行き判断DIは22年3月37.5(回答したウォッチャー6人)、4月25.0(同2人)、5月43.8(同8人)、6月50.0(同6人)、7月50.0(同3人)、8月60.7(同7人)、9月55.6(同9人)、10月31.8(同11人)、11月25.0(同4人)、12月65.0(同10人)、23年1月50.0(同7人)と推移している。1月では「設備投資の長期計画が凍結や延期になっている状況には、好転する材料が見当たらない。(東海:一般機械器具製造業〔営業担当〕)」というコメントがあった。
●日本工作機械工業会によると、23年1月分速報値の工作機械の国内向け受注額の前年同月比は▲1.7%と、21年3月分+18.2%、4月分+70.6%、5月分+82.6%、6月分+91.1%、7月分+82.9%、8月分+93.2%、9月分+90.2%、10月分+74.1%、11月分+84.9%、12月分+60.8%、22年1月分+67.3%、2月分+60.4%、3月分+48.8%、4月分+47.5%、5月分+48.9%、6月分+31.3%、7月分+14.5%、8月分+16.2%のあと、19ヵ月ぶりの減少になった9月分▲8.9%、10月分▲11.4%、11月分▲8.7%、12月分▲17.4%に続き5ヵ月連続の減少になったが、減少率は縮小した。
●機械受注統計での民需からの工作機械受注も12月分も前年同月比で▲16.9%と減少となった。22年11月分の前年同月比▲3.0%とマイナス幅は前月から拡大し4ヵ月連続の減少である。21年3月分+17.0%、4月分+71.4%、5月分+85.6%、6月分+77.2%、7月分+84.8%、8月分+91.4%、9月分+80.1%、10月分+63.5%、11月分+90.7%、12月分前年同月比+67.8%、22年1月分前年同月比+59.4%、2月分+55.6%、3月+44.4%、4月+39.4%、5月分+46.5%、6月分+21.8%、7月分+10.4%、8月分+9.7%の18ヵ月連続増加の後、9月分▲2.2%と19ヵ月ぶりに減少に転じ、10月分▲14.0%、11月分▲3.0%の減少だった。日本工作機械工業会のデータから見て、1月分では前年同月比の減少率の縮小が見込まれる。
(2023年2月16日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年12月分「機械受注」のデータ【エコノミストが解説】』を参照)。
宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト