ドラマ「孤独のグルメ」に学ぶ働き方のアイデア
食事を人生の楽しみとして独身で生きることを肯定してくれる人気ドラマ「孤独のグルメ」。僕もビデオで毎晩のように見ていた時期があります。
その頃の僕は、孤独のグルメを見れば見るほど仕事運が爆上がりしていました。このドラマにはもちろんグルメの映像を見る楽しみもありますが、働き方として見習うべきポイントがたくさんあります。
例えば主人公の井之頭五郎が検索などで店を選ぶことを決してせず、いつも佇まいやインテリア雑貨などを頼りに、直感で良い店を選んでいるところです。
現代人は飲食店を探すときに、サイトに載っている誰かが評価した星の数を見て選んだりします。それに比べて井之頭五郎の店選びは「目利き」です。世間の評判や人のおすすめを頼りにしないで、失敗もしながら、どういう人やものごとが当たりなのかを感じ取る能力を身に付けています。
実際それは、五郎の本業である輸入雑貨商という仕事に役立っています。自分の目で見て選ぶことは、仕事力を確実に上げます。
また、井之頭五郎が食事をするときに、嬉しさを隠せずにニヤニヤするところも、仕事に役立つポイントだと思います。
井之頭五郎はクールで仕事もきちんとこなしていく男ですが、お腹がすくと興奮して心の声をだだ漏れさせながら店を探し、食べたいものを好きなだけ頼み、それを食べながら大喜びします。
嬉しそうに興奮して好きなことに向き合えることはとても大事です。好きなものごとを目の前にして嬉しさを隠しきれない人は、周りからもサポートされ、好きなことを応援してもらえます。
コラム
井之頭五郎は食事をしながら様々な名台詞を放ちますが、僕が好きなのは、アイスコーヒーを頼んで飲むときに「いただきます」と言ったことです。
自分は言っていなかったと気付かされました。それ以来言うようにしています。
発想法で多大な影響を受けた『進撃の巨人』
『進撃の巨人』というマンガが好きで、発想法に関しても多大な影響を受けました。(以下、ネタバレに気をつけて概要だけ話します。)
進撃の巨人は、人喰い巨人が出てくる怖い話です。最初は話がキャッチーなので、どんどん引き込まれて夢中になりました。そして、物語の中盤でまったく意味を理解できなくなり、一度読むことをやめました。
何年か経つと、「進撃の巨人が最近とんでもなく面白い」という人が周りに増え始め、それを聞いて僕も単行本の続きを買い、最後まで読み切りました。難解な中盤を後半で伏線回収する点も含め、度肝を抜かれる面白さでした。
進撃の巨人の後半では、巨人が出てくるどころではない驚愕の物語が展開されます。この作品から、僕はアイデアの発想の仕方としてすごく大事なことに気付かされました。それは、空想とは、本当に制限がないもので、何を考えてもいいのである、ということです。
ビジネスを考えるときは、いくら「最初は自由に考えよう」と意識しても、最後は実現性や収益性を満たさなければならないということが頭から離れず、常軌を逸した発想はなかなかできません。だいたい他の人と同じ考え方になってしまいます。
現実離れした何でもありのおとぎ話を考える練習もしてみましょう。そこからまったく新しい現実的アイデアのヒントが生まれるかもしれません。
コラム
ちなみに僕は、地球で電波というものが使えなくなるときが来ると空想し、その際のビジネスアイデアを妄想しています。電波がなくなったら新しい商売が生まれます。
たかが120年ほど前は、人類は電波を使っていませんでした。
高橋 晋平
おもちゃクリエーター
アイデア発想ファシリテーター
秋田県生まれ。
2004年 株式会社バンダイに入社。第1回 日本おもちゃ大賞を受賞し国内外累計335万個を販売した「∞(むげん)プチプチ」などを開発。
2014年 株式会社ウサギを設立。玩具・ゲームの考え方を活かした事業を企業と共同開発し、発想セミナーやワークショップを全国で実施している。
笑い・遊びのある企画を作り、話題にし、販売につなげることが得意。