気づかぬうちに「ゾンビ体質」の悪循環に…A社が「倒産レベルの最悪な状況」に陥ったワケ【実例付きで解説】

気づかぬうちに「ゾンビ体質」の悪循環に…A社が「倒産レベルの最悪な状況」に陥ったワケ【実例付きで解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

リスケによって財務体質改善の出口が見えなくなってしまう会社は、実は少なくありません。本連載では、経営革新等支援機関に所属する中小企業診断士、安田順氏が著書『銀行が貸したい会社に変わる 社長のための「中小企業の決算書」財務分析のポイント』から、会社が「ゾンビ体質」と呼ばれる悪循環に陥った際の対処法について、詳しく解説します。

A社の経営改善計画書は「ただの作文」だった

もう一度、A社のPLの形をチェックしてください。 次のような社長の声が聞こえてこないでしょうか?

 

「なんとか営業利益をあげているが、借入返済に回す資金が残らない。この10年、借金はほとんど減らなかった。社員の賞与もほとんど払えていない……」

 

 初回のリスケ申請時にA社が銀行に提出した経営改善計画書には、「5年で債務超過を解消する」 というゴールが記載されていました。

 

しかし、この計画は銀行の基準を満たすように数字を並べた「ただの作文」でした。計画2年目から大幅な未達となり、その後も黒字と赤字の繰り返しで、ゴールにはまったく届かなかったのです。

 

一方で、利息と保証料さえ払い続ければ、銀行はリスケの継続に応じてくれました。銀行としても、返済を迫って倒産されるより、利息の支払いを続けさせるほうが得なのでしょう。

 

こうして10年以上が経つわけですが、最大の問題は、「支払利息で利益が減少」→「借入金の返済が進まない」→「支払利息が減らない」という悪循環に陥り、財務体質改善の出口がみえなくなっていることです。

 

もちろん売上を伸ばすことができれば、この状況は打開できます。しかし、通常、売上を伸ばすには設備投資が必要です。リスケした会社の多くは、新規の融資が受けられないため、思い切った設備投資ができないのです。

A社は“ゾンビ体質”の会社

リーマンショックの後に施行された「中小企業金融円滑化法」で銀行返済をリスケした会社には、A社のようなパターンに陥っている会社が少なくありません。A社は黒字の会社です。A社はいわゆる“ゾンビ企業”ではないと私は思いますが、財務体質改善の出口を見いだせないという点で“ゾンビ体質”と言わざるを得ないでしょう。【図表3】はその形を表したものです。

 

【図表3】

 

事業再生では、BSの「債務超過」が問題にされがちですが、実際に社長の頭を悩ませているのは、債務超過ではなく「利益の出にくいPL」なのです。コロナ禍で借金が増えてしまった会社は、【図表3】のパターンを十分警戒する必要があります。コロナ融資には実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が含まれるので、当面の金利負担は抑えやすくなっています。しかし、ゼロゼロ融資も当初3年間の無利子期間が過ぎると、利息の支払いが始まり、金利負担が重くなります。

 

 

安田 順

安田経営診断事務所 代表

中小企業診断士

 

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