(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年2月3日、政府は、児童手当の「所得制限」を撤廃する方向で調整に入りました。しかし、それに先立ち、西村経済産業大臣が、衆院予算委員会において所得制限の撤廃に否定的な意見を述べたことが物議を醸しています。本記事では、西村経産相の発言内容から浮かび上がる問題点を解説します。

疲弊するシングルファザーの嘆き

実は、前述の「ケース1」には、モデルが存在します。男手ひとつで子2人を育てている読者のXさん(仮名)です。

 

「毎日、仕事が終わったら急いで家に帰って、おなかがすいたと訴える子ども達に夕飯を作って、子どもたちを風呂に入れて、洗濯もして…毎日ヘトヘトなんです。」

 

「働いて高い税金もきっちり納めています。男手一つで家事もこなしながら子育てもしているのに、児童手当は1円ももらえません。不公平ですよね。」

 

Xさんと似た境遇の「ひとり親」の方は多いと考えられます。このような人にこそ、「児童手当」のような制度が必要だということもできます。

 

しかし、こういった問題について、西村経産相が十分に理解しようと努めているとは到底考えられません。

 

西村氏は、こうも述べています。

 

「働く人の所得を上げていくことや、育児休業の取得促進など柔軟な働き方支援が重要だ」

 

しかし、「働く人の所得が上がらない」状況、「柔軟な働き方支援が遅々として進まない」状況に対し、長年にわたって手をこまねいてきたのは、西村氏が要職を務めてきた政府・与党です。「どの口がいうのか」という批判を免れません。

 

2月3日に、政府・与党は、所得制限を撤廃する方向で調整に入りました。これは遅きに失したとはいえ、歓迎すべきことといえます。しかし、与党の「重鎮」である西村氏と同じ考え方をもつ議員は一定数いることが想定され、前途は決して楽観視できません。今後の先行きを注意深く見守る必要があるといえそうです。

 

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