(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数22,688.90 pt (+0.54%)
中国本土株指数7,773.61 pt (+0.87%)
レッドチップ指数4,134.35 pt (+0.53%)
売買代金972億5百万HK$(前日1,195億5百万HK$)

米雇用市場は堅調も国内総生産(GDP)は減速

来週31日から2日間の日程で開催される公開市場委員会(FOMC)を前に、米国株式市場は米景気の先行きを楽観視する見方が相場を支えた。S&P500は、昨年12月初旬以来の高値で引け、ナスダック総合指数も昨年9月以来の高値を付けた。

 

今回のFOMC会合では8会合連続での利上げが見込まれている。問題は引き上げ幅であるが、一部のFRB高官からは利上げ幅を前回の50bps幅から25bps幅に縮小するとの見方が増えている。過度な利上げで景気後退を招かないようにする配慮とインフレ率の上昇傾向が変化してきたことがその背景にはある。

 

経済指標はまちまちで、米国経済には底堅さも見受けられる。26日に発表された22年10-12月(第4四半期)の米国内総生産(GDP)では成長率は減速しながらも底堅さを示した。

 

市場はリセッション観測により悲観的過ぎる一方で、当局者はソフトランディングとの見通しを維持しており、この見通しのギャップが近い将来埋まることにより、市場の変動は大きくなるだろう。

 

来週にはFRBのほか、1月の米ISM製造業総合景況指数、3日の雇用統計と双方、鈍化の兆候も昨年12月の米雇用統計は、雇用市場の堅調さを改めて示す結果となっていた。

 

ここ直近の経済指標は雇用統計を除いて鈍化傾向を示していたが、来週の声明文や会合後の会見で利上げの一時停止に関する文言の有無が焦点になると思われる。一方で、米金融当局は再び口先でインフレとの長期の戦いを示唆すれば相場を押し下げ始める可能性も高く、米国市場ではボラティリティーの高い相場が当面続くと思われる。

香港ハンセン指数は3日続伸

27日の香港市場は中国景気の持ち直し期待が連日相場を支え、ハンセン指数は一時マイナス圏に沈む場面もみられたが下値は底型く、前日比0.54%高と3日続伸した。

 

春節(旧正月)の大型連休を終え、消費活動に回復の勢いが増しているとの肌感覚が相場を支えた。また、新型コロナウイルス感染に関しては、ピークを打ったとの見方も強まった。ハンセン指数は終値ベースで前日の高値を更新し、昨年3月1日以来およそ11ヵ月ぶりの高値を更新した。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比1.04%高と市場をアウトパフォーム。同指数も昨年7月5日以来の高値を更新したほか、昨年10月末に付けた安値から約3ヵ月で70%強の上昇となった。

 

人工知能開発のセンスタイム(0020)が大幅高となり前日比19.9%高。昨年に米国の投資規制対象となった同銘柄が、米国において株式投資の禁止対象に入っていないと伝わったことが材料視された。

 

不動産株も大幅高となり不動産株で構成されるハンセン不動産指数は前日比2.23%高となった。不動産開発の碧桂園(2007)は6.2%高、龍湖集団(0960)は4.3%高、緑城中国(3900)は2.3%高、中国海外発展(0688)は2.0%高だった。

 

カジノなどのレジャー銘柄も大幅高。今月1月21日から開始した春節期間中にマカオのインバウンド旅客数が事前予想を大きく上回るデータから経済再開に対する期待も高まっている。大手カジノの金沙中国(1928)は4.1%高、新濠国際発展(0200)は3.3%高、ウィンマカオ(1128)は3.0%高、MGMチャイナ(2282)は2.7%高だった。

 

中国本土株市場は今週27日まで休場となり、来週から取引が再開される。経済成長加速への期待が高まるかどうか注目したい。

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

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