米ドル円は「130〜135円」が狙い
■日米10年国債金利差を確認する
日米の金融政策の温度差が為替レートに如実に表れるようになってきました。米国はインフレ対策のために利上げを行い、日本は景気優先で金融緩和を継続。この状況が長く続けば、米国の金利上昇に伴い、円をもつより米ドルをもっていたほうが金利が得られるため、自然にドル買い円売りが生じます。
■米国株購入時には為替も確認する
それでは、為替の側面から米国株はいつ買うのがチャンスといえるのでしょうか。米国の金利もいつまでも引き上げられるわけではありません。インフレが収まれば金利引き上げの動きもストップするでしょう。そう考えると、短期的には日米10年国債の金利差が3.0%~3.5%程度、為替レートでは1ドル=130円から135円ぐらいで推移しているときに買うのが妥当といえるでしょう。
中長期的に見ると、米国のインフレ退治が終わり、いずれある程度金利を引き下げる状況となることが想定できます。その場合は、過去の状況から1ドル=100円~120円程度に戻る恐れがあるため、その水準で買い増しなど検討するとよいでしょう。ただし、金利引き上げは株安につながる可能性もあるため、注意が必要です。
第1金曜日の日本時間「22時30分」を狙う
■雇用統計は為替や株価に影響を与える
雇用統計は、米国で最も注目される経済指標のひとつで、金融政策の変更のきっかけとなることもあるものです。
雇用統計は、毎月第1金曜日の日本時間22時30分(サマータイム時は21時30分)に結果が公表されます。その時間には、特に短期売買を行うFX投資家が為替売買を活発に行います。
雇用統計で特に見るべき指標は、失業率と非農業部門雇用者数です。失業率は予想より低いか高いか、非農業部門雇用者数は予想より雇用者数が増加しているかどうかを確認します。
■為替・米国株両方を狙う
雇用統計の結果がよく、継続的に米国経済の力強さが確認できれば、米ドル高・米株高の両方が期待できます。雇用統計発表後に米ドルを買い、その後市場が開く23時30分(サマータイム中は22時30分)に米国株を買うといった方法があります。
もちろん、中長期売買であれば、雇用統計の結果を確認後に米国株購入のために米ドルも同時に購入といったスタイルでも構いません。ただし、急いで売買すると判断を見誤る可能性もあるため、結果をしっかり確認したうえで取引しましょう。
伊藤 亮太
スキラージャパン株式会社 取締役、ファイナンシャルプランナー
慶應義塾大学大学院商学研究科修了。在学中にCFPを取得する。その後、証券会社時代には社長秘書、営業、経営企画部門等に勤務。2007年11月にスキラージャパン株式会社設立。現在は、資産運用や保険、年金に強いFPとして、数多くの執筆・相談を手掛けている。著書に『株取引の要点 買いのタイミングはココだ』(技術評論社)、『キホンから新常識までまるわかり!超図解 お金再入門』(PHP研究所)など多数。