親会社の株式保有比率が「40%以上」
■親子上場は解消される傾向にある
親子上場とは、親会社と子会社が両方上場することをいいます。例えばイオン(8267)のように、イオンモール(8905)、キャンドゥ(2698)など子会社が複数上場しているケースもあります。こうした親子上場は、子会社が上場することで子会社の価値向上が見込める、従業員のモチベーションが向上するなどのメリットがあります。しかし、内部管理体制などのコスト負担が増加する、子会社の株主を意識しなければならず子会社の経営資源をグループ全体のために活用しづらいといったデメリットもあります。
■子会社を買って寝かせて期待
親子上場を解消するとグループ会社として連携を強化でき、経営資源をグループの間で活用できるようになります。
その例としては、NTTによるNTTドコモの完全子会社化が挙げられます。TOB(株式公開買付)により株価は大きく上昇しました。
このように、親子上場解消により株価が大きく上昇する可能性があります。ポイントは、①親会社が40%以上子会社の株式を保有していること、②親子上場のメリットよりもデメリットが大きくなっている企業を探すことでしょう。
社長・親族の株式保有比率が「50%以上」
■中小型株から狙うM&A対象銘柄
株式四季報や会社のホームページから株主構成を確認してみると、社長もしくはその親族の株式保有割合が50%を超えている企業があります。また、一見分散されているように見えるものの、結局過半は身内がもっているという企業もあります。
こうした企業のうち、業績が低迷しているケースや、割安株として放置されている銘柄は、後々お宝銘柄へと変貌するケースがあります。なぜならば、M&Aの対象となる可能性があるからです。
■「M&Aが盛んに行われている業界」に注目
特にM&Aが盛んに行われている業界に注目してみましょう。群雄割拠の状況では、新しく店舗を出し売上を増やす方法では時間がかかり思うように成長できません。そのため、M&Aで買収してスケールの大きさを活かし、更なる成長を遂げたいと考える企業は多くあります。そこでターゲットになりやすいのが、身内で株式を多く保有している企業です。50%を超えるような比率を保有していれば、社長以下親族が売るといえばそれでM&Aはできたようなものです。もちろん、30%程度の保有比率でもM&Aは行われるケースはあるため、無難にいくなら50%超から探しましょう。
経営に参加していない創業者が「20%以上」保有
■「所有と経営が分離している銘柄」を狙う
会社四季報などにより株主構成を確認すると、社長とは異なる人物が大株主に名を連ねていることがあります。こうした個人は、創業者であったり、投資家であったりさまざまなケースがあります。
また、今は創業者兼経営者として企業経営をけん引しているものの、今後どこかで次の世代へバトンタッチしていかなければならないと考えている現役の経営者もいることでしょう。こうしたケースではMBOやTOBにより非上場化や他企業の子会社となる道を進む可能性があります。少なくとも20%以上の株式を保有する個人で、経営には携わっていないようなケースや高齢の創業者が経営に携わっているケースを探してみましょう。
■MBOを行うケースには3パターンある
このほかにもMBOが実行されるケースとして3パターン考えられます。ひとつ目が経営の自由度を高めたい場合。思い切った展開を図りたい場合にMBOが活用されるケースがあります。2つ目に親会社から独立したいケースが挙げられます。3つ目が上場コストに負担感を感じている場合です。赤字の企業などで株価が低迷している場合はMBOの可能性があります。
伊藤 亮太
スキラージャパン株式会社 取締役、ファイナンシャルプランナー
慶應義塾大学大学院商学研究科修了。在学中にCFPを取得する。その後、証券会社時代には社長秘書、営業、経営企画部門等に勤務。2007年11月にスキラージャパン株式会社設立。現在は、資産運用や保険、年金に強いFPとして、数多くの執筆・相談を手掛けている。著書に『株取引の要点 買いのタイミングはココだ』(技術評論社)、『キホンから新常識までまるわかり!超図解 お金再入門』(PHP研究所)など多数。