(※写真はイメージです/PIXTA)

日本全体の高齢化が進むなか、企業の経営者や社長の平均年齢も年々上がり、「後継者難」はいま深刻な問題となっています。後継者を考える際、まず思い浮かぶのが「わが子」をはじめとした親族ですが、実はこの「親族内承継」が1番ハードルが高いと、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏はいいます。それはなぜか。また、親族以外に会社を譲りたい場合どうすればいいのか、みていきましょう。

止まらぬ廃業…「後継者探し」が急務

日本の会社のうち「99.7%」が中小企業というふうにいわれています。そのなかでいまもっとも深刻な問題が「後継者不足」です。一説によれば100万社以上が後継者不足といわれ、後継者難による望まぬ倒産は年々増加しています。

 

また、代表者の平均年齢も年々上昇し、中小企業の代表者の平均年齢は「60歳以上」ともいわれています。

 

事業承継の基本的な流れは、まず後継者を「発掘」すること。そして、その後継者を「育成」すること。そして後継者に「交代」というプロセスを踏んで、ようやく事業承継ができるわけです。

 

これは一朝一夕にはできませんので、中小企業の社長はいますぐにでも事業承継に対して手を打たなければならないということです。

 

実は“最難関”な「親族内承継」

事業承継としてもっともスタンダードなのは、「子どもに承継させる」というパターンです。ただ、この「親族内承継」が実はもっとも難しいのです。後継者の育成に失敗してしまえば、残念ながら会社はすぐに倒産してしまいます。

 

特に、子どもに事業承継をさせる場合、経営者は厳しくしているつもりでも実は甘やかしがちです。

 

なかには、子どもをなんとか2代目にしたいという思いから、取引先などに“修行”させに行くケースもみられます。しかし、受け入れ側も社長との関係があるため子供は結局「チヤホヤされて帰ってきただけ」で、継がせるどころかポンコツに拍車がかかってお荷物扱い……このように、子どもへの事業承継はなかなかうまくいかないというのが現実です。

 

後継者は「選ぶ」ものではなく「つくる」もの

そうなると、次は「社内から後継者を選ぶ」というフェーズに入ってきます。

 

子どもや親族に会社を譲る選択肢を取らない場合や、すでに一族経営をしていてそこから脱したいという場合、社内から後継者を選ぶことを考えるでしょう。

 

ただ、後継者選びというのは先述の通り会社の命運がかかっていますので、適正者がいなければ当然難航し時間がかかります。

 

誰を後継者にするか社員から匿名アンケートなどをとって決定するのもいいですが、適正者がいないのであれば“つくりあげる”しかありません。

 

社長は後継者を「選ぶ」のではなく、「つくる」ものなのではないでしょうか。

 

よく、「いい後継者がいない」と専門家に相談される方もいらっしゃいますが、なかなか選ぶほど人材が豊富ではないケースもありますから、適正者がいないのであれば「つくる」ということを考えなければいけません。

 

また、親族にも社内にも後継者候補がいないのであれば、「社外から連れてくる」というのも1つの手です。

 

ただし、ここで気をつけるべきは、社外から連れてくる場合であってもまずは「部長」あたりのポジションから任せて、うまくいけば「社長候補」として後継者を育てるというプロセスがいいでしょう。

 

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