確定拠出年金を利用した場合の具体的な節税効果
具体的にどれくらい節税になるか、計算してみましょう。
役員報酬100万円に対して、社会保険料や、所得税・住民税はいくらぐらいかかるかというと、社会保険料は11万6,168円、所得税は10万6,975円、住民税は6万8,541円となります。
ということは、役員報酬100万円の経営者は、それが会社から支払われた瞬間に、29万1,684円がそこから引かれて、手取りとしては約70万円になります。なんと30万円弱が社会保険料や税金に消えてしまうのです。
そこで、役員報酬94万5,000円、確定拠出年金5万5,000円にした場合はどうなるかというと、役員報酬94万5,000円に対して、社会保険料は11万3,276円、所得税は9万4,741円、住民税は6万3,333円で、合計27万1,350円となります。
先ほどの29万1,684円に比べて、毎月2万334円、社会保険料や、所得税・住民税が少なくなります。
年間にすると24万4,004円の得。年間66万円を役員報酬ではなく、確定拠出年金に振り分けるだけで、24万4,004円分社会保険料や、所得税・住民税が少なくなるわけです。
66万円を60歳まで出せないところに投資して24万4,004円がお得になる――。
単純に考えて、これを利回り換算すると、約37%という計算になります。
この低金利の時代に、37%を超えるような金融商品や制度はおそらく存在しません(もしあったとしたら、怪しいものである可能性大です)。
確定拠出年金は、合法的、かつノーリスクで37%ものお得をゲットできるのです。
もちろん、社会保険料や税金が少なくなる金額は、その人の所得などによっても変わってきますので、ここで出したシミュレーションはあくまで一例です。
ただ、少なくとも掛金の15%はお得になります。なぜなら、所得税率は最低でも5%、住民税は全国ほぼ10%ですので、それを足し合わせた15%分はお得です。
15%もお得になる金融商品や制度も、まずないといえるでしょう。
ここで一つ、「社会保険料が下がることによる留意点」について触れておきましょう。
支払う社会保険料が下がることによって、保障にも影響が出てくるのです。
たとえば、国からの年金が減ります。国の年金は国民年金と厚生年金ですが、社会保険料が下がれば、厚生年金の支給額が減ります(国民年金は影響ありません)。
同様に、傷病手当、休業補償給付、失業給付等の支給額も減ります。これらの影響もきちんと理解した上で加入することが必要です。
ただ、保障が減った分を差し引いても、確定拠出年金に拠出したほうがメリットがあることはご理解いただけると思います。
以上が、企業型確定拠出年金における拠出時のメリットです。
私が経営者とお話しする際に、この部分のメリットをお伝えするだけで、「この制度は使ったほうがいいね!」「すぐ導入したい!」と前のめりになられる方が多いのです。
これだけでも十分にメリットを感じていただけるのですが、さらなるメリットをご紹介しましょう。
次に挙げるのは、運用時のメリットです。確定拠出年金は、ただ拠出するだけではなく、そのお金を運用していくこともできます。