「正しい姿勢」づくりに欠かせないからだの柔らかさ
正しい姿勢には、からだの力を抜き、適度にゆるめることが大切です。その大きなカギとなるのは、からだの柔らかさです。
からだが動くのは、働く筋肉とゆるむ筋肉の2つが作用しています。たとえば肘(ひじ)を曲げたときに力こぶができるのは、上腕二頭筋が作用している証拠です。しかしその代わり、下側の筋肉である上腕三頭筋はゆるみ、伸びている状態になります。
からだが柔らかいということは、余計な力が入っていないということです。つまり伸び縮みが自在な柔軟なからだであれば、からだの力が抜きやすくなり、正しい姿勢を実現しやすくなるのです。
それでは、ここで準備体操として、からだの柔軟性を高めるエクササイズを紹介しましょう。
【からだを柔らかくする(前屈が無理なくできるようになる)エクササイズ】
① 両手をおでこに当て、おでこの中央に両手の指がくるようにします。
② おでこの中央から頭頂部にかけてゆっくりとマッサージする。指の動きに合わせて、目も上を向けていきます。
【からだを柔らかくする(開脚をして座った状態で前屈ができるようになる)
エクササイズ】
① 今度は座って足の親指に手を当て、親指を足底の方向へ曲げていきます。
② 親指を曲げたまま、親指の横~土踏まず~かかとへ、ゆっくりとツボを押すようにマッサージしましょう。
[図表1] からだを柔らかくするエクササイズ
このエクササイズをする前後で前屈をしてみると、エクササイズ後のほうが前屈しやすい
と感じるはずです。とはいえ、急に「からだの力を適切に抜くこと」を実践するのはなかなか難しいことでしょう。
筋肉がほぐれ、肩こりにも効果的な「舌逆回し運動」
ここではまず「首の力を抜くエクササイズ」についてお伝えします。首の力を、なぜ抜くべきなのか。その理由は明白です。首に力が入っていると、延髄から出ている副交感神経の働きが鈍くなり、自律神経が安定しにくいからです。
【首の力を抜き、こりをとるエクササイズ】
① 首をゆっくりと時計回りに回します。
② 同時に、舌を反時計回りに回します。
③①~②を5~10回繰り返してみましょう。
④ 今度は首を反時計回り、舌を時計回りに行います。
舌は出さなくても、口を閉じたままで行ってもよいでしょう。
[図表2] 首の力を抜き、こりをとるエクササイズ
首と舌をそれぞれ逆に回すのは、慣れないうちは非常に難しいです。しかし、はじめのうちは、首が右に向いているときは舌は左、首が下を向いているときは舌も下、というように意識しながらゆっくり行うとよいでしょう。毎日続けているとだんだん慣れてきます。
これを行っていると、筋肉の緊張がとれ、肩こりにも効果があります。同じ要領で、肩や腰を回しながら舌回しを行うと、体の力がとれて、腰痛なども軽減されます。この「舌逆回し運動」は、常に考えながら行うため、認知症予防の効果も期待できます。
さらに上半身の力を抜くには、首ではなく、フラフープを回すように上半身全体を回しながらゆっくり舌を回します。このエクササイズは、上半身の力を抜くだけではなく、内臓から緊張をとったり、背骨にかかっているストレスを緩和する効果まで期待できます。
これらの方法でからだの力を適切に抜いて、正しい姿勢をとることを習慣化していきましょう。