老後の経済的な不安を解消したい
最後に、不動産投資を始めた目的をみてみましょう。
不動産投資をしている人に、不動産投資を始めた目的を聞いた調査では、資産運用が圧倒的に多く、67.3%にのぼります。次に多いのは、老後の年金対策で、18.5%。この2つで85.8%となり、多くの人がお金や収入アップを目的としていることがわかります(グローバル・リンク・マネジメント「不動産投資に対する意識調査」2021年)。これは、お金に関する不安が投資を始めた理由になっている、と読み替えても良いでしょう。
世の中全体に向けた調査でも、現在の所得や収入や資産に満足している人は半分以下ですし、収入については、男性の方が女性よりも満足している人の割合が低く、資産については、60歳以上の満足度が高い一方で、30~50代の満足度が低いという傾向があります(内閣府「国民生活に関する世論調査」2021年度)。
このようなデータを総合的に見ると、30〜50代の男性は経済的な不安を抱えているケースが多く、その不安を解消する1つの手段として、不動産投資を選択しているという背景が考えられます。
実際、家賃収入は物件を保有している限り発生しますので、老後に向けた個人の年金作りにつながります。将来的にインフレで物価が上がった場合も、家賃収入があれば生活費を上乗せできますし、インフレ時には不動産価格も上がることが多く、資産価値が上がります。ローンを組んで不動産投資をする場合、団体信用保険に加入すれば万一のことがあったときに残金の返済が免除されますし、その点で不動産が生命保険の代わりにもなります。
まとめ
不動産投資をしている人、していない人の両方を対象として、不動産投資に対する興味の度合いをみてみると、すでに不動産投資をしたり、興味を持ってセミナーなどに足を運んでいる人が数%いるとともに、具体的な行動はとっていないものの、興味を持っている人が27.8%いることがわかりました(グローバル・リンク・マネジメント「不動産投資に対する意識調査」2021年)。
また、すでに不動産投資をしている人に絞ると、61.3%の人は不動産の買い増しを検討したいと考え、不動産投資をしていることについてよかったと思っている人は81.8%にのぼります(野村不動産ソリューションズ「第13回不動産投資に関する意識調査」2021年、同「第10回不動産投資に関する意識調査」2018年)。
このことからわかるのは、資金の準備や調達手段があり、実際に不動産投資を始めた人は、経済的な不安を解消するという心理面でも、収入が増えて生活水準が上がるという実質的な面でも満足しているということ。富裕層が不動産投資をする、というイメージは間違いではありません。
しかし、データから投資家像を分析すると、実際にはサラリーマン投資家が多く、3000万円くらいの資金で着々と収入を増やしている人がいます。不動産投資は案外身近で、資金の準備や調達手段さえ整えば、多くの人にとって経済的な不安を解消できる有効な手段になり得るということです。