(※写真はイメージです/PIXTA)

会社をあげてDX化を推進しようと考えているものの、実は「DX」についてあまりわかっていない……そのような経営者も多いのではないでしょうか。定義が曖昧なまま世の中に普及した「DX」の本質とは。沖電気工業株式会社でデジタル責任者(CDO)としてDX戦略の策定・推進を行う、同社専務の坪井正志氏が解説します。

やや「バズワード(※)」と化した、DXという言葉

(※)バズワード:いかにも専門性・説得力のある言葉に聞こえていても、曖昧な定義のまま広く世間で使われてしまう用語・造語・フレーズのこと(グロービズ経営大学院HP「MBA用語集」より)。

 

このように、技術関係のメディアだけでなく、ビジネス関係のメディアもこぞってDXを取り上げるようになると、やや「バズワード」として扱われるケースも増えてきました。

 

DXは、提唱者であるストルターマン教授が「情報技術(IT)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でよりいい方向に変化させること」と明確に定義しています。

 

DXレポートが脚光を浴びた結果、やや企業よりのテーマになっていたのが、新型コロナ感染症を境に一般社会も含めたテーマになり、「あらゆる面」という当初の定義に近づいたといえます。

 

「DX」と「IT化」の違い

バズワード的な扱いとしては、「IT化とDXはなにが違うか」、「DXは手段なのか目的なのか」といった議論が代表的です。

 

「IT化とDXはなにが違うか」という議論のなかでは、「IT化は手段のことしか言っておらず、DXは目的であるX(変革)を重視している」などと述べられていますが、IT化でも「目的はなにか」ということが重要であり、あまり生産性の高い議論とはいえません。

 

また、DXが広まるにつれて「IT化」というワードが使いにくくなった印象もあります。

 

たしかに、たった2文字で手段(D)と目的(X)を表すDXは大変秀逸なワードであり、正しく「IT化」を言い直したともいえます。DXに関するさまざまな議論は必要ですが、それがDX自体を「難しいもの、わかりにくいもの」という印象にしていないかということを筆者は危惧します。

 

このように、DXは奥行きの深い言葉でありますが、基本は「IT化による変革」とシンプルに考えたほうがいいでしょう。

 

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