ムダ遣いの理由を「行動経済学」から探ってみよう
◆人が判断を誤るメカニズム
節約の方法を学んでもなお、ムダ遣いをしてしまうのが人というもの。
では、なぜ浪費してしまうのでしょう。それは一見合理的に見える判断も、実は誤った認知やバイアスに惑わされていることがあるからです。
例えば、割引された商品を見て「お得な商品だ、買いたい」と思ったら、それは「アンカリング効果」が働いているかもしれません。割引前の価格が示されていると、「これだけ価値があるものが、ここまで安くなっている」と認識して、脳がお得と思い込んでしまうのです。
また、「ザイオンス効果」といって、接触回数が多いほど好意を抱きやすくなるという効果があります。何度も広告を目にするうちに商品が欲しくなるのはこの効果が働いているからなのです。ほかにも、ほかの人に後れを取らないように商品を購入してしまう「バンドワゴン効果」や、禁止されるほど興味をかきたてられる「カリギュラ効果」などもあります。どんな要因で判断を誤るかを把握しておけば、ムダ遣いの防止に役立ちます。
●アンカリング効果
値下げ前と値下げ後両方の価格を示すことで、値下げ前の価格が基準(アンカー)になって「お買い得だ」と感じる
●ザイオンス効果
目に触れる可能性が高いものを選んでしまう。選挙で立候補者の名前を連呼するのも、この効果を狙ったもの
●バンドワゴン効果
ほかの人に後れを取らないようにと考えて商品を購入してしまう。「いま一番売れています」といわれ買ってしまうなど
●カリギュラ効果
禁止されるほど興味をかきたてられる。「本当に必要な人しか買わないでください」といわれ買ってしまう
●極端の回避・オトリ効果
3つの選択肢を提示されると自然と中間の選択肢を選んでしまう。「松竹梅」のうち「竹」が多く選ばれる
●端数価格効果
切りのよい値段よりも端数のついた値段を安く感じる。端数のなかでも「8」の数字が値段に含まれていると商品を買ってしまいやすい
●タイムプレッシャー
時間制限があると冷静な判断ができなくなる。「○時間後にセール終了」という言葉を見るとつい買ってしまうなど
頼藤 太希
株式会社 Money & You 代表
高山 一恵
株式会社 Money & You 取締役