(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、熟年離婚を選択する夫婦の割合は増加傾向にあります。妻側が不満をつのらせたことが要因であるケースが多いですが、夫側が家庭内で居場所がない、妻から大切にされていないなどの状況から、老後について考え直し熟年離婚を選ぶようなケースもあるようです。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、離婚請求の要件について伊藤祐貴弁護士に解説していただきました。

「婚姻を継続し難い重大な事由」の典型例とは

(※写真はイメージです/PIXTA)
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「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、「婚姻関係が破綻し、回復の見込みが全くない状態」をいうものとされているとお伝えしましたが、具体的にはどのような場合に当てはまるのでしょうか。

 

「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断にあたっては、婚姻期間、婚姻期間中の言動、婚姻継続の意思の有無、扶養すべき子の有無、双方の状況など一切の事情が考慮されますので、最終的には裁判所が離婚訴訟で主張・立証された個別具体的な事情を総合的に考慮して判断をします。

 

もっとも、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる典型例がありますので、これらをご紹介します。

 

1つ目は、相手方にも離婚の意思がある場合です。

 

この場合、当事者双方が離婚をしたいと考えているので、裁判所があえてその夫婦の婚姻関係を継続させる理由はなく、通常、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められます。

 

2つ目は、別居が長期に及んでいる場合です。

 

夫婦は一般に、単身赴任など特別の事情がない限り、同居するものとされています。そのことから、長期間にわたり別居が続き、夫婦間にコミュニケーションがない場合には、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがないと判断するための積極的な事情となります。

 

つまり、別居期間が長ければ長いほど、裁判所でも婚姻関係が破綻し、回復の見込みがないと判断しやすくなります。そのため、別居が長期に及んでいることが「婚姻を継続し難い重大な事由」の一事情となるのです。

 

では、相談者が離婚するにはどうしたらよいのでしょうか。

 

今までお伝えした内容は、最終的に離婚訴訟で判決まで行った場合のものです。

 

日本の離婚制度は、訴訟以外にも協議離婚や調停離婚などがあります。協議離婚や調停離婚は必ずしも民法770条1項1号から5号までの理由がなくとも、双方が離婚に合意をすれば成立します。

 

そのため、相談者の場合には、まず、当事者双方で協議をしたり、家庭裁判所の離婚調停を利用するなどして、離婚に向けた話し合いを進め、訴訟外での解決を目指すことが第一歩になると考えます。

 

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