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<ポイント>
●親の部屋と水廻りは同一フロアに置く
●共有するところ、しないところを明確に整理する
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親との同居は「どこまで共有スペースにするか」がカギ
親がひとつの個室をもっていて、それ以外の共有スペースは子世帯と一緒に使うことを完全な同居とすると、それ以外にどのような同居のかたちがあるのでしょうか。親が専用に使う洗面脱衣室、トイレ、浴室などをもつケース、キッチンを別にもつケースも考えられます。これらに加えて玄関まで別々に使うと、二世帯住宅となります。
親と子世帯が、共有スペースとしてどこまで許容できるのか。その度合によって、間取りの考え方は違ってきます。今後の暮らしでお互いの関係性をどのようにしたいかを熟慮しなければなりません。それまで別々に暮らしていた親と子世帯が一緒に暮らし始めたことで、その関係がぎくしゃくしてしまうのだけは避けたいところ。何を共有し、何を別々に使うか、それによって家族みんなの生活がスムーズになるように間取りを考えることが大切です。
二世帯住宅には二世帯住宅のよさがあり、同居型の住宅にはあるスペースを共有することで家族の関係がより密になるというよさがあります。どちらにしても、家族みんなの精神的なつながりをつくり出すことができるならば、家族の人数が増えれば増えるほど、楽しく暮らせると思います。
「親の部屋」と「水廻り」は同じ階に置くのが鉄則
親と同居する場合、どこに親のスペースを設けるか、それを最初にイメージしておくことが大切です。平屋であればどこに置いてもさほど問題になりません。それが、2階建てや3階建てになると問題です。高齢者となれば誰しも足腰が弱りますから、親のスペースと水廻りの関係を配慮する必要があります。
必ず守りたいのは、親のスペースと水廻りを同じ階に設けること。どうしても難しい場合には、少なくとも親の寝室と水廻りだけでも同じ階に置き、毎日の生活を少しでも楽にしてあげられる配慮をしましょう。介護が必要になった場合も、同じ階に水廻りがあるのは便利なはずです。また、キッチンが親と子世帯で共有の場合でも、親が元気であれば、親の寝室のそばにミニキッチンを置くと何かと重宝します。
本間 至
一級建築士
1956年東京生まれ。一級建築士。1979年日本大学理工学部建築学科卒業。卒業後、1986年まで林寛治設計事務所で実務を通し住宅設計を学ぶ。独立後、東京で設計事務所本間至/ブライシュティフト(一級建築士事務所)を設立し、今までに150軒以上の住宅の設計を手掛け、暮らしやすい間取りをつくる住宅設計者として高い評価を得ている。
主な著書に、『最高の住宅をデザインする方法』『最高に楽しい[間取り]の図鑑』『本間至のデザインノート』『いつまでも快適に暮らす住まいのセオリー101』『小さな家の間取り解剖図鑑』(すべてエクスナレッジ刊)などがある。