社長になってから、社会人の学びを知った
その後会社を立ち上げて社長になったのですが、わたしは相変わらず、人前では頭が真っ白になって、話もできない状態でした。
それではいけないと思い、話し方教室に通いました。まったく話せないことで、社員や家族に対して恥をかくのはイヤだったので、学ぶ場所で恥をかくようにしたのです。
また、新入社員教育をするどころか、電話の出方もわからなかったので、自分で新入社員向けの研修を受けに行ったこともあります。
結婚相談所をはじめた頃、20代前半の人たちのなかに、30代のわたしが入っていったのです。微妙な居心地を感じながら、社会人がどう学んでいくのかをはじめて理解することができました。
そのときに学んだのは、「知らないから、不安を感じる」ということです。実際に体験すればできるようになる。それが勇気になり、そして人に教えられるようになると思えたのです。
出たがらない社長が前に出ることに意義がある
経営者にもいろいろなタイプの人がいるでしょう。もともと前に出たくて仕方のない人もいれば、わたしのように出たがらない人もいます。でも、出たがらない人が前に出ることには、大きな意義があるのではないかとわたしは考えています。
これはあくまでも私見ですが、中身のある人は、ご自身が前に出ようと思わない傾向があるようにも感じています。本当は自分を表現したほうがいい人ほど、積極的に前に出ないところがあるのではないでしょうか。
自分が出てしまっていいのだろうかと躊躇したり、口下手で、前に出て何かをするのは得意ではない、と自覚している社長はたくさんいます。
でも、それは思い込みかもしれません。かつてのわたしは、信じられないほど自己表現が苦手だったにもかかわらず、いまでは表現することを職業にしています。
自分を出すのが苦手だったわたしが、いまでは自分のすべてをさらけ出すような仕事をしているのは、不思議なことです。だからこそ、そこに価値があるのではないかな、と感じている面もあります。
「わたしは人前で表現するのは得意ではない」と思っている人ほど、可能性があるのかもしれませんよ。自分の話をしてしまいましたが、わたしのエピソードを知って、「自分にもできるかも」と励みにしていただければうれしく思います。