ネット上に飛び交う「レバレッジ投資信託」の怪情報…。実際のリスク、やる価値はあるのか?

ネット上に飛び交う「レバレッジ投資信託」の怪情報…。実際のリスク、やる価値はあるのか?
(※写真はイメージです/PIXTA)

レバナスは「取り扱い注意」のリスクにより、肯定・否定が分かれる金融商品です。本書は、チャンネル登録者数6万人の投資系YouTubeを運営する著者が、単なる思い込みや偏見、感情論からはきっぱりと一線を画し、「なぜレバレッジNASDAQ100を使った資産形成には、他の投資対象より優位性があるか?」 を理路整然と、詳細なデータやシミュレーションを交えながら解説します。

レバナスに繰上償還リスクはある?

2022年の下げ相場で、レバレッジNASDAQ100の基準価額は大和レバナス、楽天レバナスの2つとも最高値から半値以下の水準まで下落しました。

 

ネット上には、「レバナスの基準価額の下落が続くと、繰上償還されてしまう」といった“怪情報”が飛び交っています。そうした情報の中には、「レバナスの純資産総額が98%目減りすると、受益権総口数も98%目減りするので、繰上償還のラインに引っかかってしまう。だから危ない!!」と主張する“バカげた”ネット記事もありました。

 

しかし、この記事は投資信託における純資産総額と受益権総口数を混同した、誤った情報です。そもそも、投資信託の繰上償還とは何か? どういう基準になると繰上償還されてしまうかを見ていきましょう。

繰上償還と受益権総口数の関係

繰上償還とは、運用がうまくいかなくなった投資信託が運用を途中で止めてしまうことで、投資信託の“倒産”といわれています。

 

結論から言うと、レバレッジNASDAQ100の基準価額が現状からさらに大きく下がっても、繰上償還される可能性は極めて低いでしょう。

 

大和アセットマネジメントの「iFreeレバレッジNASDAQ100」の「交付目論見書」には、同投資信託が繰上償還される基準について、

 

「次のいずれかの場合には、委託会社は、事前に受益者の意向を確認し、受託会社と合意のうえ、信託契約を解約し、信託を終了させること(繰上償還)ができます。

 

●受益権の口数が30億口を下回ることとなった場合
●NASDAQ100指数(米ドルベース)が改廃された場合
●信託契約を解約することが受益者のため有利であると認めるとき
●やむを得ない事情が発生したとき」

 

と規定されています。この中で最も現実的な繰上償還発動の基準は 「受益権の口数が
30億口を下回る」 という冒頭の規定でしょう。

 

では、そもそも「受益権総口数」とはなんでしょうか?

 

「受益権」というのは、投資家が保有する投資信託から運用収益を受け取る権利のこと。投資家は、この受益権を1口いくらという形で購入し、投資信託の運用収益から保有する口数に応じて均等に分け前をもらいます。

 

つまり、「受益権総口数」というのは、その投資信託を購入している投資家が保有する投資信託の口数が全部で何口あるかを示したもの。簡単に言うと、その投資信託が購入された全体の「量」を表したもの、といえます。

 

一方、投資信託が今、いったい、いくらの資産を運用しているかを示したものが「純資産総額」です。純資産総額はその投資信託の運用規模を示します。そして、投資信託を購入する時のお値段にあたるのが「基準価額」になります。

 

多くの場合、1万口の受益権を購入するためには何円、という1万口あたりの価格で表示されています。

 

受益権総口数と純資産総額、1万口あたり基準価額の関係を示した式は、「基準価額=(純資産総額÷受益権総口数)×1万口」になります。

 

この式の受益権総口数を左辺に持っていくと、「受益権総口数=(純資産総額÷基準価額)×1万口」

 

例えば、「iFreeレバレッジNASDAQ100」の2022年8月30日現在の基準価額は2万2511円。純資産総額は1507億円です。

 

この時の受益権総口数は、「純資産総額1507億円÷基準価額2万2511円×1万口=約669億口」となります。30億口を下回るには、程遠いですね。

 

受益権総口数が大きく減るのは、多数の投資家がその投資信託を売却してしまう場合だけであり、基準価額や純資産総額がどれだけ下落したか、は関係ありません。

 

風丸

投資家

 

※本連載は、風丸氏の書籍『米国株「レバナス」投資 月1万円の積み立てから狙う“悪魔的リターン” 』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

米国株「レバナス」投資

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風丸

KADOKAWA

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