2023年、新たなファンドへの投資を勧める理由
安定した投資ペースを維持することは難しいかもしれませんが、2023年に新たなファンド投資を行うことができるような投資家は、投資を実行することをお勧めします。私たちの分析では、景気後退期は特に魅力的なビンテージ年となる傾向があります。
構造的に、ファンドは数年にわたり資金を投入するため、「時間分散」の恩恵を受けることができます。すなわち、景気後退期に調達された資金は、不況の進行につれて下落した価値で資産を取得することができ、回復期にバリュエーションが上昇した時点で、エグジットを実施することが可能となります。
たとえば、1980年以降のデータによると、景気後退期に資金調達がされたプライベート・エクイティ・ファンドの平均IRR(内部収益率)は年率14%を超えていました。これは、景気後退期前の数年間に資金調達されたファンドよりも良好な結果です。
プライベート・デットと不動産に関しても、同様の傾向が見られます。インフラストラクチャーに関しても同様の効果が見られるはずですが、分析するのに十分なデータはありません。
相関性の低い戦略
プライベート・アセットのバリュエーションは、上場市場に比べてボラティリティが低いとはいえ、名目金利や実質金利の上昇の影響を受けないわけではありません。
しかし、プライベート・アセット市場は大きく成長し、非常に多様化してきています。各資産クラスには、長期にわたる深刻な景気後退期に対して、回復力を発揮する専門的なアプローチによる特化戦略があります。
これらの投資のほとんどは、プライベート・アセットの「ロングテール」と呼ばれる幅広い投資ユニバースに見つけることができます。これはすなわち、各資産クラスの取引額の約50%を占め、95%の取引件数を占める中小型の取引をさします。
[図表2]は、各資産クラスのロングテールに見られる、相関性の低い戦略の例です。さらに、サステナビリティとインパクトに強い特性を持つ投資は、より優れたアップサイドの可能性とダウンサイドプロテクションを提供すると考えています。
2023年には、GP主導取引と従来のLPセカンダリー取引の両方において、セカンダリー市場で興味深い取引機会がある可能性が高いと考えます。
IPOやM&Aといったエグジット機会が縮小しているため、GP主導取引は恩恵を受けると思われます。
2023年には、ディストレストの売手からLP持分を取得する魅力的な投資機会が生まれると予想しています。