今回は、医療法人と個人事業で課税がどのように違うのかを紹介します。※本連載は、中央税務会計事務所の税理士・中島由雅氏と、株式会社アックスコンサルティングの代表取締役・広瀬元義氏の共著『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、歯科医院の節税、税務調査対策について解説します。

法人化したほうが節税効果を得られる場合も

近年の傾向として、個人に対する消費税は増税傾向にあり、法人税は減税傾向にあります。

 

前回までで述べたように、個人事業と医療法人では、課税の方式が異なります。個人事業は所得が上がれば上がるほど税率もアップする超過累進課税方式であり、法人税は原則として利益に対して一定の税率が適用される比例課税方式です。

 

もう少し詳しく見ていくと、個人に課せられる所得税は、原則として5%から45%の7段階に税率が区分されており、10%の住民税と合わせると最高で55%の税率になります。さらに平成25年~49年までは、復興特別所得税基準所得税額の2.1%を合わせて申告、納付することになります。

 

法人税の基本税率は23.9%であり、さらに課税所得のうち800万円以下の部分に対して15%の軽減税率が適用されます。その上復興特別法人税も廃止されました。つまり個人事業の所得税率が法人税の税率を上回ったころに、医院の法人化を行えば、節税効果が得られることになります。

プロに任せたほうがよい「医療法人」の確定申告

ただし確定申告は、個人事業よりも医療法人の方が格段に難しくなります。個人事業主の確定申告は、収入から経費を除けば簡単に所得を求めることができました。このためがんばれば、院長自身が確定申告書を作成することができました。

 

一方、法人の確定申告は経理や会計に関わる専門知識がなければ、確定申告書を作成することは困難です。財務会計上の「利益」と法人税法上の「所得」が異なるため、財務会計上の利益を調整して、税法上の所得を算出しなければならないためです。

 

このため決算時には税理士などの専門家にある程度の報酬を支払い、確定申告を依頼することになるでしょう。

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    本連載は、2015年7月1日刊行の書籍『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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