2022年11月「米CPI」発表直前のチェックポイント【ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●物価の伸びは前月からおおむね鈍化との見方が優勢、結果次第で株価は大きく上下する公算大。

●CPIの前年比伸び率については、CPI全体の6割近くを占めるサービスの寄与度拡大が続いている。

●サービスのうち、構成比率の高い帰属家賃は上昇が続いており、今回のCPIをみる上では要注目。

物価の伸びは前月からおおむね鈍化との見方が優勢、結果次第で株価は大きく上下する公算大

米国では12月13日に、11月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。今回は、米連邦公開市場委員会(FOMC)開催中(12月13日、14日)の発表であることから、一段と注目度が高まっています。直近の市場予想では、総合指数が前月比+0.3%(10月は+0.4%)、前年同月比+7.3%(同+7.7%)となっており、食品とエネルギーを除くコア指数は前月比+0.3%(同+0.3%)、前年同月比+6.1%(同+6.3%)となっています。

 

このように、物価の伸びは10月からおおむね鈍化するとの見方が現時点では優勢です。そのため、仮に予想を大きく上回る物価の高い伸びが示されれば、米金融引き締めの長期化や、それによる景気のさらなる冷え込みへの警戒が強まり、株価は下落の反応が見込まれます。逆に、物価の伸びが予想を大きく下回れば、米金融引き締めがさほど長期化せず、景気減速も軽微にとどまるとの期待から、株高の反応となる公算が大きいと思われます。

CPIの前年比伸び率については、CPI全体の6割近くを占めるサービスの寄与度拡大が続いている

さて、ここで改めてCPIの中身、すなわち構成項目を詳しくみてみます。CPIは、「食品」、「エネルギー」、「食品とエネルギーを除く項目(いわゆるコア項目)」という3つの大きな項目で構成され、コア項目は、「財」と「サービス」に分類されます。直近の構成比率は、食品が13.7%、エネルギーが8.0%、コア項目が78.3%で、コア項目のうち財が21.2%、サービスが57.1%となっています。

 

このように、サービスがCPI全体に占める割合は、6割近くに達していることが分かります。次に、食品、エネルギー、財、サービスの4項目について、CPIの前年比伸び率への寄与度を確認してみます。その結果は図表1の通りで、このところ、エネルギーと財の寄与度が低下している一方、食品の寄与度は高止まりが続いており、サービスの寄与度は拡大傾向が示されています。

 

(注)データは2020年1月から2022年10月。総合指数は前年同期比の伸び率。食品、エネルギー、財、サービスはその伸び率への寄与度。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]米消費者物価指数の項目別寄与度 (注)データは2020年1月から2022年10月。総合指数は前年同期比の伸び率。食品、エネルギー、財、サービスはその伸び率への寄与度。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

サービスのうち、構成比率の高い帰属家賃上昇が続いており、今回のCPIをみる上では要注意

このサービスは、「住居」、「医療」、「輸送」などの8項目に分類され、8項目のうち構成比率が最も高いのは住居の32.6%です。住居はさらに細かく分類されますが、そのうち構成比率が最も高いのは「帰属家賃」(持ち家に住んでいる人が、その家を借家とした場合に支払う想定家賃)の24.0%です。サービスと帰属家賃は、いずれも前年比で高い伸びが続いており(図表2)、CPIの高止まりの一因となっています。

 

(注)データは2020年1月から2022年10月。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]米消費者物価指数のサービスと帰属家賃 (注)データは2020年1月から2022年10月。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11月30日の講演で、住宅サービスのインフレ率は、インフレ率の転換点付近で、他の物価に遅れる傾向があり、来年あたりから下がり始めるとの見方を示しました。この点を踏まえると、今回もサービスや帰属家賃の動向は注目ポイントであり、価格が落ち着かなければ、11月CPIは市場予想ほど伸びが鈍化しないことも、想定しておく必要があると思われます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年11月「米CPI」発表直前のチェックポイント【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

    旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
    現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
    著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
    CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

    著者紹介

    三井住友DSアセットマネジメントは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

    著者紹介

    連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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