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<ポイント>
●家事コーナーや書斎コーナーのポイントは動線と広さ
●ちょっとしたスペースがあるだけで安心・便利!
●個室にする場合は可変性も検討しておこう
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家事コーナーは家事動線を考慮しながら配置を決める
1人暮らしであれば、当然、すべてのスペースは自分1人のものとして自由に使えます。LDKと寝室がワンルームの同じスペースでもよいですし、寝室を分けても問題ありません。
ところが同居人が増えると、それぞれの個室やスペースをつくることになります。その間取りは多種多様ですが、一般的には、夫婦の寝室や子ども室があっても母親の部屋、父親の部屋を個室でつくることはまれです。母親の部屋に代わるのが家事コーナー、父親の部屋に代わるのが書斎コーナーや趣味室、といった具合です。どちらにしても、スペースやコーナーとして部屋の一部につくられることが多いですが、モノが多い趣味室や仕事部屋は多目的スペースとしても使えるようにつくる場合もあります。
家事コーナーをつくるのであれば、家事動線を考慮しながら配置を考えます。書斎コーナーは、個室としてもよいですし、寝室の一角に置いてもよいのですが、誰が・いつ・どう使うのかを今一度確認し、適した動線と広さを検討しましょう。また将来、子どもの人数が増えた場合を想定して、可変性をもたせたつくりを検討してもよいかもしれません。これからの暮らし方を熟慮して、自分たちにとってオンリーワンの間取りを実現しましょう。
LDの一角に家事コーナーを置く
家事コーナーとは、その名のとおり、家事のため、あるいは家事の合間に使うちょっとしたスペースです。家事の合間に書類や仕事を片付けたり、子どもの勉強スペースとして使ったり、家族の共有スペースとしても活用できます。
いまや、家事コーナーにはパソコンが必須アイテムです。無線LANがあれば家のどこにいてもパソコンを使うことができますから、家事コーナーの配置も自由になったといえます。
しかし、印刷となると、紙の補給などを考えて、家族の誰もが簡単に使える場所に固定するのが望ましいです。家族みんなが必ず使う場所といえば、玄関、サニタリー、リビング、ダイニングが浮かびますが、家族の誰もが使うリビングやダイニングに、誰もが使うパソコンや周辺機器が置かれるのが自然でしょう(図表1)。
キッチンの一部に集約させて家事を楽に
子育て世帯では、朝・昼・晩の家族の食事や子どものお弁当などを毎日つくらなければなりません。その合間に、献立を考え、子どもの学校のプリントの整理など家族のための雑事に加え、自分自身のさまざまなことも処理する必要があります。これに仕事も加わると、一日に行うことは多種多様で多忙きわまりない…。そんな日常の煩雑な家事や仕事を、キッチンの一角で一手に行えるようにしてみると、生活は予想以上に回りやすくなります。
調理はキッチン以外ではできませんから、キッチンの位置は固定されます。そのほかの雑事もキッチン周辺に集約させれば、動線や時間の無駄を省けます。さらに収納スペースも集約させてしまえば、片付けも楽になり、一挙両得というわけです。
本間 至
一級建築士
1956年東京生まれ。一級建築士。1979年日本大学理工学部建築学科卒業。卒業後、1986年まで林寛治設計事務所で実務を通し住宅設計を学ぶ。独立後、東京で設計事務所本間至/ブライシュティフト(一級建築士事務所)を設立し、今までに150軒以上の住宅の設計を手掛け、暮らしやすい間取りをつくる住宅設計者として高い評価を得ている。
主な著書に、『最高の住宅をデザインする方法』『最高に楽しい[間取り]の図鑑』『本間至のデザインノート』『いつまでも快適に暮らす住まいのセオリー101』『小さな家の間取り解剖図鑑』(すべてエクスナレッジ刊)などがある。