(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年9月28日にスイスの国際経営開発研究所により「世界のデジタル競争力ランキング2022」が発表され、諸外国と日本のDX推進状況の差が明らかとなりました。日本は何位だったのでしょうか? みていきます。

 

経済産業省が発表したDXレポート「2025年の崖」

少し振り返りますが、DXへの取り組みが遅れた場合のシナリオについてまだ記憶に新しいのが、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」の「2025年の崖」です。

 

本レポートでは、「老朽化・肥大化・複雑化・ブラックボックス化したレガシーシステムが残存した結果、維持管理費の高騰やIT人材不足が進み、ITシステムの運用・保守の担い手不在から多くの技術的負債を抱えるとともに、業務基盤そのものの維持・継承が困難になることで、2025年以降年間で最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある」と指摘されました。本レポートにもあるように日本のDX推進に向けた対応について3点お伝えします。

 

1つ目は「経営の理解と明確なビジョンの打ち出し」です。企業におけるDXの推進は、企業文化・風土や業務の根本的な見直しも必要であり、相応の投資など少なからず痛みを伴う改革となります。明確な経営戦略・ビジョンを従業員に示し、合意形成を図ることを推奨します。

 

2つ目は「レガシーシステムからの脱却」です。複雑化・老朽化したシステムを抱えている企業はまだまだ多いのが現状です。長年利用しているシステムは技術的にも古いため蓄積できるデータの量が極めて小さかったり、場当たり的な改修を続けてきたためプログラムのロジックが極めて複雑だったりと改修するにも困難を極めます。現状に問題がないからと見過ごさず、この先の市場要求や変化にも柔軟に対応できるシステムへの切り替えを早期に実施することを推奨します。

 

3つ目は「IT・DX人材の確保・育成」です。「IT改革やDXを進めようにも適する人材が社内にいない、確保できない」と、お悩みを多くお聞きします。海外と違い日本では、ユーザー企業にSEやプログラマーといったIT人材が少ないか、居ても定年退職間近であり、多くはシステムの開発や管理のベンダー企業側にいる現状です。これは悪いことではなく、適切な棲みわけをするべきであると私は考えます。

 

汎用性が高い業務・機能はベンダーの汎用システムを活用することで、技術進歩や法規改正に適時対応してもらい、自社の戦略的な領域や市場変化に合わせた機能を自社の人材で企画・開発・調達をできるようにする。この自社のIT・DX人材が必要です。

 

外部からの確保が難しい状況もあり、採用も並走しながら社内の人材育成をしてください。技術もさまざまですが、最近ではノーコード開発で取り組みやすい技術もあり外部研修などで習得もできます。期待は、自社の業務を俯瞰的に理解し、市場の変化やお客さま要求に応えられる人材が必要と私は考えます。

 

コロナ禍をきっかけに企業のビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。各企業がポストコロナ時代における新常態(ニューノーマル)に対応するうえで、事業継続がひとつのキーワードとなっており、テクノロジーの重要性がかつてないほど高まっています。システムやビジネスを再構築することは新たなイノベーション(ビジネス)を創出する機会につながるといわれており私も賛同いたします。

 

 

岩田 真豊

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

経営コンサルティング部

DX戦略チーム 次長

 

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