(※写真はイメージです/PIXTA)

ウクライナ侵攻により世界情勢は大きく変化しています。新たな冷戦構造ができつつあるともいわれるなか、日本は漁夫の利をつかめると、ストラテジストの菅下清廣氏は予測します。みていきましょう。

“新たな冷戦”で日本が「漁夫の利」を得られる可能性

筆者が「2021年から世界と日本は大変化していく」と予想する理由のひとつとして、今回の冷戦構造で日本が再び「漁夫の利」を占める可能性があるということが挙げられます。

 

ウクライナ戦争によって世界は西側の民主主義陣営とロシア・中国の権威主義陣営に分断されつつあります。サプライチェーンはもちろん、通貨体制もこれから激変してくることが予想されます。新たな冷戦構造ができつつあるなかで、いま日本は非常に重要なポジションを占めつつある。日本は中国やロシアという仮想敵国の最前線になるので、かつての冷戦構造のときのようなメリットが出てくる可能性があります。

 

いまは1ドル130円台のたいへんな円安になっていますが(2022年6月時点)、アメリカはこれまで日本を為替操作国として厳重に監視して円安を許さないできました。ところがいまは大幅な円安でもアメリカが許容するようになっている。その背景にはこの新たな冷戦構造の存在が考えられるのです。

経済制裁の反作用で「ドル体制の見直し」が進む

また、世界の金融システム、通貨体制が、これから見直されてくるのではないでしょうか。1944年のブレトンウッズ協定以来、米ドルが世界の基軸通貨となってきましたが、そのドルによる通貨体制がいつまで続くのかという疑問が出てきています。

 

今回のロシアによるウクライナ侵攻で、西側諸国はロシアに対するSWIFT(国際銀行間金融通信協会)からロシアの銀行を排除する経済制裁を科しました。これによってロシアはドル決済ができなくなり、貿易取引などができなくなっています。ロシアはそうした経済制裁を予想していたのか、ドルの外貨準備を大幅に減らして、金(きん)などに換えていました。

 

自由貿易体制はドル決済によって信頼できるシステムとして機能してきました。それがドル決済を否定する経済制裁が行われたので、これからは中国も含めて、できるだけドルを持たないようにするという動きになってきています。

 

つまり、経済制裁の反作用としてドル基軸体制にほころびが出てきているのです。これにデジタル人民元などの流通がどうからんでくるのか。1944年のブレトンウッズ体制から続いてきたドル基軸通貨体制の先行きが不透明になってきています。

 

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本記事は、菅下清氏の著書『史上最強の資産インフレ相場で大化けする日本株を買え! 大円安・インフレで1000兆円が動き出す』(徳間書店)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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