今年の圧倒的需要は低迷予想…なぜか?
タイ国政府観光庁(TAT)によると、来年の第2四半期は、今年市場を押し上げた需要はなくなり、観光部門が低迷する可能性が高いという。
TATは、12月10日に各入国港で行われる予定の「アメイジング・タイランド1,000万人祭」という特別イベントの開催準備をしている。今年末に観光客数が1,000万人に達するという予測を先取りして開催されるイベントだ。
しかし、「今日の圧倒的な需要は、2、3年間旅行できず待ち望んでいた観光客が押し寄せた事例がほとんどであるため、業界はこの数字を今後もあてにすることはできない」とTATのユタサック・スパソーン知事は述べている。
「不況、旅行費用の高騰、インフレなどのマイナス要因にタイ観光がどう対処するかを見るには、次のオフシーズンまで待たねばならないだろう」(ユタサック氏)
需要があったとはいえ、今年の観光収入総額の予測は1兆3,000億バーツ(375億6,140万7,000米ドル)で、年初に設定した目標の1兆5,000億バーツ(433億4,070万米ドル)を下回っている。景気への懸念と高い支出が外国人、また国内観光客の動向の両方に影響を与えていると考えられる。
この課題に対して、ユタサック氏は「2023年3月に期限切れとなるビザ免除対象国・地域からの観光客の滞在可能期間を45日に延長するなど、政府の制度による恩恵を受ければ、1兆3,000億バーツ(375億5,434万5,400米ドル)以上の観光収入を達成できる可能性がある」と述べた。外国人観光客の平均消費額は6万バーツ(1,733米ドル)だが、滞在期間が延びれば7万7,000バーツ(2,224米ドル)に急増する可能性があるという。
期待は欧州観光客、待望の中国人観光客は…
ユタサック氏は、「プーケットにある多くのホテルが、長期滞在を求めるヨーロッパ人観光客の流入により客室がオーバーブッキングしていると報告していることから、ヨーロッパ人観光客が長期滞在の特典を利用する可能性が高い」と述べた。
TATは来年、海外市場と国内市場から2兆3,800億バーツ(687億4,639万5,200米ドル)を獲得することを目標に掲げている。
しかし、海外市場において一番の要となる中国本土の状況は依然として不安定で、いつ、どのように旅行制限が緩和されるのかはっきりしないため、2,000万人達成の目標に中国人旅行者は含まれていない。
「中国市場に対してできることは、タイに対する好感度を維持し、彼らが来ることを許可されるまで待つことです。当面は、中国人観光客の不足を補うために他の市場を加速させる必要があります」とユタサック氏は述べた。
「習近平国家主席のタイへの公式訪問の際には、両国間の観光再開の約束はなかったものの、中国のTATオフィスによると、習近平の訪問に言及した4万3,000以上の投稿があったそうです。両国の観光再開について、中国本土では少なくとも多くの国民の関心はあるようです」(ユタサック氏)