(※写真はイメージです/PIXTA)

ダイバーシティ(多様性)の重要性は、企業経営でも認識が広がりつつある一方、その評価軸は試行錯誤が続いています。では、ダイバーシティが「進展している企業」と「そうでない企業」について、いま現在市場はどのような評価を下しているのでしょうか。アライアンス・バーンスタイン株式会社の責任投資ヘッド、臼井はるな氏が解説します。

女性取締役ゼロの企業トップ選任に反対

アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、さまざまなタイプの従業員を大切にする企業が、より一層、戦略的な優位性を得られると考えています。そして、実証や議決権行使を通じた具体的な取り組みを進めています。

 

たとえば、株価との相関性。ABのリサーチによると、性別のダイバーシティに関するスコアが上位20%に入るグローバル企業の株価の過去3年リターンは、スコアが下位の企業の株価を約4%上回りました。もう少し期間を長くしたリサーチでも、同じような結果が出ています[図表4]。

 

また、日本の上場企業に対しては、2021年の株主総会から、取締役に女性がおらず任命もしようとしない企業のトップ選任には反対することを明確化しました。

 

[図表4]性別のダイバーシティに関するグローバルなリーダー企業がアウトパフォーム
[図表4]性別のダイバーシティに関するグローバルなリーダー企業がアウトパフォーム

二重のメリットを生むダイバーシティ推進企業

ダイバーシティ・リーダー企業を見極めるには、入念なリサーチが必要です。ダイバーシティを目指す企業の取り組みは情報が不十分かつ断片的であるため、従来の財務報告書や定量リサーチから求人用ウェブサイトや社員のブログについてのデータサイエンスに基づく分析まで、幅広いインプットが必要となるのです。

 

データソースとファンダメンタルリサーチを組み合わせることで、DEIに関する企業のコミットメントや進捗状況をより詳しく把握することができると私たちは考えています。

 

人的資本は流動的な資産であるため、多くの投資家はその価値を十分に評価しておらず、どう測るべきかわからずにいます。また、DEIが成功の重要な基盤を作り出すという考え方を取り入れている企業はまだまだ多くありません。

 

ダイバーシティを推進する企業は、自社の職場環境を改善するとともに、投資家に潜在的なリターンを提供するという二重のメリットを生み出す存在である――。こうした認識が広まることが肝要です。

 

 

臼井 はるな

アライアンス・バーンスタイン株式会社

責任投資ヘッド

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください。

 

 

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【ご注意】
※本稿は、ABのリサーチブログ「知の広場」の「ダイバーシティは企業のみならず、投資家にも恩恵をもたらす」を参考に、再編集したものです。詳細については当該ブログをご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタインポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2022年8月10日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が再編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

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