(※写真はイメージです/PIXTA)

今年も残り2ヵ月を切りましたが、「ふるさと納税」はまだまだ間に合います。いつまでに何をすればよいのでしょうか? 板山翔税理士が解説します。

 

――もうすぐ年末ですが、ふるさと納税で今年の税金を安くするためにはいつまでに何をすればいいんでしたっけ?

 

板山翔税理士:「12/31までに支払いを終えて、返礼品と一緒に届く『寄附金受領証明書』などを保管しておいてください。」

基本的には「12/31まで」に支払いを済ませればOK

気付けば今年もあと2ヵ月となり、そろそろ「ふるさと納税やらなきゃ」って焦る人が増える時期ですね。

 

年内に寄付をすれば、今年分の確定申告で控除が受けられます。人気の特産品だと、ふるさと納税してから届くまで数ヵ月かかったりすることもありますが、返礼品は今年中に届かなくても問題はありません。

 

とにかく12/31までに支払いを終えて、自治体から返礼品と一緒に届く「寄附金受領証明書」か、ふるさと納税ポータルサイトで発行できる「寄附金控除に関する証明書」を確定申告のために保管しておけば大丈夫です。

 

確定申告のときにこれらの書類がないと、控除が受けられないのでご注意ください。

 

質問の回答としては以上になりますが、ここからはそのほかの細かい注意点や、ふるさと納税の上限の計算などについて解説していきますので、気になる項目はチェックしておいてくださいね。

 

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<以降の目次:ふるさと納税の注意点や制度の解説>

●「年末ギリギリの支払い」はタイミングに注意!

●ふるさと納税の「証明書」は“どちら”を保管すべき?

●ワンストップ特例制度に関する注意点

●そもそもふるさと納税とは?

●ふるさと納税の控除額の詳しい計算方法

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「年末ギリギリの支払い」はタイミングに注意!

12/31までに支払いを終えるようお伝えしましたが、年末ギリギリに支払った場合、決済方法によっては自治体の受領日(入金日)が翌年になってしまうことがあるため注意が必要です。

 

例えばカード決済の場合は12/31に決済すれば、自治体の受領日も12/31となりますが、振込の場合は12/31に振込手続をしたとしても、自治体に入金されたのが翌年1/1であれば、受領日は翌年1/1となってしまいます。

 

決済方法ごとの一般的な自治体の受領日は次のとおりですが、余裕を持って支払いを済ませてもらうのが一番です。

 

【決済方法ごとの自治体の受領日】

●クレジットカード決済、携帯キャリア払い、PayPayオンライン決済…決済した日

●銀行振込…自治体の口座へ入金された日

●コンビニ決済…コンビニで支払った日

●ペイジー…インターネットバンキングやATMからの送金日

 ※詳しくはふるさと納税ポータルサイトや各自治体にご確認ください。

ふるさと納税の「証明書」は“どちら”を保管すべき?

自治体から返礼品と一緒に届く「寄附金受領証明書」を1枚1枚保管するか、ふるさと納税ポータルサイトで発行できる、1年分の寄付の履歴をまとめた「寄附金控除に関する証明書」のいずれかを保管しておく必要があります。

 

証明書の枚数でいえば、寄付金控除に関する証明書1枚を保管しておく方が楽かもしれませんが、書面発行された寄附金控除に関する証明書はe-TaxでPDF添付できるわけではないため、税務署に郵送か持参して提出する必要があります。

 

また、寄附金控除に関する証明書を電子発行して、e-Taxで電子送信することもできるのですが、XML形式という見慣れないファイル形式で発行されるため、操作に戸惑う人も少なくないようです。

 

アナログに返礼品と一緒に届く寄附金受領証明書を1枚1枚保管しておいて、e-Taxでもそれをもとに入力して送信する従来のやり方の方が案外やりやすい人もいると思いますので、念のため寄附金受領証明書も保管しておくことをおすすめします。

ワンストップ特例制度に関する注意点

ワンストップ特例制度とは、寄付先が5自治体以内であれば、確定申告をしなくても控除が受けられる制度です。

 

しかし、ワンストップ特例制度を使っても、確定申告をすると無効になってしまうため、確定申告をする人は、この制度は使わないでください。

 

また、ワンストップ特例制度を使う人は、翌年1/10までに申請書の提出が必要ですので、提出期限にもご注意ください。

 

1/10までに自治体に申請書が届いている必要があります。

 

加えて、寄付するたびに特例申請書と本人確認書類の提出が必要で、同じ自治体に複数回寄付したとしても、毎回申請書と本人確認書類の提出をしなければならない点も忘れないでください。ワンストップと言いつつなかなか手間のかかる制度ですよね。

そもそも「ふるさと納税」とは?

そもそもふるさと納税ってどんな制度?と思われた方のためにあらためて説明すると、ふるさと納税とは、自治体に対する寄付金のうち、2,000円を超える部分を所得税・住民税から全額控除してくれる制度です。

 

例えば、10万円ふるさと納税した場合、所得税・住民税が9万8,000円安くなるので、2,000円の自己負担で返礼品がもらえます。

 

ただし、税額控除してもらえる金額には上限があり、上限を超えて寄付すると、所得税・住民税は安くなりません。

 

上限を超えると普通に返礼品をお買い物するのと同じことになりますが、ふるさと納税の返礼率は3割以下、つまり自治体の原価率は3割以下と定められているため、お得な買い物である可能性は低いです。

 

控除上限額の計算は複雑なので、各ふるさと納税サイトの、上限額をシミュレーションしてくれるページを参照してください。参考に、私が使っている「さとふる」のシミュレーションページのURLを貼っておきます。

 

<ご参考>

さとふる『ふるさと納税の控除上限額(限度額)がわかるシミュレーション&早見表』(https://www.satofull.jp/static/calculation01.php)

ふるさと納税の詳しい計算方法

所得税と住民税どちらから控除されるの?と控除の順序や計算式が気になる方のために以下詳しく説明しますが、ここからは難しいので興味がない方は読む必要ありません(※ワンストップ特例制度では住民税のみから控除されますが、説明が複雑になるため詳しい計算方法は割愛します)。

 

【控除の順序】

ふるさと納税は次の3段階に分けて控除されていきます。

 A)所得税からの控除

 B)住民税からの控除(基本分)

 C)住民税からの控除(特例分)

 

A、Bが通常の寄付金控除で、Cがふるさと納税特有の控除です。

 

A、Bで控除しきれなかった残額を、Cで控除するイメージです。そして、Cの上限が「住民税所得割額の2割」です。

 

それぞれの控除額の詳しい計算式は次のとおりですが、見ての通り難しいので、自分で計算せずシミュレーションサイトを使った方がいいと思います。

 

【控除額の計算式】

A)所得税からの控除 = (ふるさと納税額*-2,000円)×「所得税の税率」

  *ふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限

 

B)住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額*-2,000円)×10%

  *ふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限

 

C)住民税からの控除(特例分)* = (ふるさと納税額 - 2,000円)×(100% - 10%(基本分) - 所得税の税率)

  *住民税所得割額の2割が上限

 

 

 

板山 翔

板山翔税理士事務所 代表、税理士

 

おそらく日本初の「オンライン専門の税理士事務所」の創設者。自社の事業を「税理士業」ではなく、「経営に必要な情報をオンラインで提供する事業」と捉え、経営戦略コンサルタントとしても活動している。従業員5名以下の小さな会社の経営者を中心に、「小さな会社だからこそできる差別化戦略」の立て方や、「短期間で売上アップするためのマーケティング戦略」、「長期的に資産を形成していくための財務戦略」などを教えている。

 

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