樹脂の約1,400倍も熱を通してしまうアルミサッシ
住宅の窓の断熱性能を重視している欧米等の国々では、【図表4】のように、木製もしくは樹脂サッシが主流を占めています。なぜかというと、アルミの熱伝導率は、木や樹脂の約1,400倍に上るため、アルミサッシでは断熱性能の確保が困難だからです(図表5)。それに対して日本では、いまだにアルミサッシが主流を占めています。このあたりからも、我が国の住宅の断熱性能向上の対応が遅れていることについておわかりいただけるかと思います。
結露は欧州では起きてはならないもの
日本では、断熱性能が不十分なアルミサッシもしくはアルミ樹脂複合サッシが主流を占めているため、一流といわれるハウスメーカーの新築住宅でも結露が生じるのがあたり前です。一方、欧州では、「建築物理学」という学問があり、その中で「結露を引き起こすのは誤った設計であり、人の健康を害する瑕疵である」いう考え方があります。つまり多くの欧州の国々では結露は起きてはならないものなのです。
よく、「結露が生じない家なんて可能なのですか?」と質問を受けますが、断熱・気密性能をきちんと確保すれば、普通の暮らし方をしていれば結露は起きなくなります。
つまり、欧米と日本では、住宅に要求されている断熱・気密性能のレベルがまったく異なるのです。
結露は、居住者の健康と住宅寿命に悪影響を及ぼす⁉
ではなぜ結露は起きてならないのでしょうか?
それには大きく二つの理由があります。一つには、結露が生じると、どうしてもそこにカビが発生し、さらにカビはダニの餌になるため、カビ・ダニの発生がアレルゲンとなり、居住者の健康を害します。これらのアレルゲンが喘息やアトピー等の原因になっていることは多いようです。近畿大学建築学部長の岩前篤教授の調査(図表6)によると、従前の家で症状が出ていたものの、高気密・高断熱住宅に引っ越したのちにこれらの症状が出なくなったということを示す「改善率」は、省エネ基準レベル(普通の分譲住宅・注文住宅レベル)に比べて高いことが明らかにされています。
そしてもう一つ、結露は家の寿命に悪影響を及ぼします。結露には、実は表面結露と内部結露(壁内結露)の二種類があります。表面結露というのは、窓等の居住者の目の届くところで生じる結露です。もうひとつの内部結露(壁内結露)は、名前の通り壁の中で生じ、居住者は普段目にできないところで生じています。この内部結露については、別の回にもう少し詳しく触れようと思いますが、壁の中で起こる結露は、壁の中を湿った環境にしまうため、「腐朽菌」と呼ばれる木材を腐らせる菌の繁殖や、湿った環境を好むシロアリの発生リスクが高まるため、家の躯体性能や耐震性能の劣化につながります。
同じ木造でも、欧米に比べて日本の住宅の寿命が短いことの要因の一つに、結露対策が不十分でないことが挙げられます。
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