(※画像はイメージです/PIXTA)

わが国の所得税は、所得が高くなるほど段階的に税率が高くなっていく「超過累進税率」を採用しており、年収が上がるほど、税負担が重くなっていきます。しかし、個人、特にサラリーマンは「節税」の方法が限られています。そこでよく行われているのが「不動産投資」です。本記事では、不動産投資を行うことによる税制メリットの一つとされる「損益通算」について、他のメリットや不動産投資の注意点にも触れながら解説します。

不動産投資がなぜ節税になるか?

まず、不動産投資が節税になるしくみについて説明します。以下の通りです。

 

手順1. 不動産投資で損失を計上する

手順2. 不動産投資の損失を他の所得から差し引く(損益通算)

 

これだけだと、「損失」を計上することはメリットではないのではないかと感じられます。しかし、ここでいう「損失」は計算上の処理をした結果の数字であり、実際に損失が発生しているとは限りません。そして、「節税」に役立つのはこの計算上の損失です。

不動産投資で損失を計上する方法

では、不動産投資で損失を計上するというのはどのようなことでしょうか。

 

不動産投資においては、不動産を購入・所有し、人に賃貸して賃料収入を得ます。それにより得られた賃料収入は「不動産所得」に該当します。

 

不動産所得は以下の計算式により算出されます。

 

収入金額-必要経費

 

この「必要経費」に、建物の購入費用が「減価償却費」として計上されます。すなわち、不動産は土地と建物ですが、そのうち建物については、不動産所得の計算上、「減価償却」の対象となります。

 

減価償却とは、資産の購入代金額を、購入初年度にいきなり全額費用化するのではなく、複数の年度に分けて必要経費として落としていくことをさします。減価償却費等の費用が賃料収入を上回れば、その分は「損失」として計上されます。

 

減価償却の期間は建物の種類ごとに「法定耐用年数」として定められています。

 

建物の場合、法定耐用年数は以下の通りです。

 

・木造:22年

・軽量鉄骨造:27年超

・重量鉄骨造:34年超

・RC造・SRC造:47年

 

ただし、中古の場合、以下のように、短くなります。

 

【法定耐用年数>築年数の場合】

・法定耐用年数-築年数×0.8

 

【法定耐用年数≦築年数の場合】

・木造(築22年超)⇒4年

・軽量鉄骨造(築27年超)⇒5年

・重量鉄骨造(築34年超)⇒6年

・RC造・SRC造(築47年超)⇒9年

 

単年度あたりの減価償却費の金額は、償却期間が短いほど大きくなります。たとえば、「木造・築23年・建物価格3,000万円」であれば、1年あたり750万円の減価償却費を4年にわたって計上できます。

 

したがって、もっとも人気があるのは、築22年超の木造アパートです。

 

なお、これは、「損失」といっても、実際に毎年750万円が出ていっているわけではありません。あくまでも、最初に購入した時に支払った3,000万円を、費用化しているだけです。したがって、実際の支出を伴わない損失といえます。

次ページ規模が大きければ「65万円の控除」も

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