(※画像はイメージです/PIXTA)

わが国の所得税は、所得が高くなるほど段階的に税率が高くなっていく「超過累進税率」を採用しており、年収が上がるほど、税負担が重くなっていきます。しかし、個人、特にサラリーマンは「節税」の方法が限られています。そこでよく行われているのが「不動産投資」です。本記事では、不動産投資を行うことによる税制メリットの一つとされる「損益通算」について、他のメリットや不動産投資の注意点にも触れながら解説します。

規模が大きければ「65万円の控除」も

不動産投資を行う場合、規模に関し一定の要件をみたせば、青色申告が可能となります。そうすれば、65万円の「青色申告特別控除」を受けることによって、より大きな必要経費を計上することができます。

 

青色申告を行える要件は以下の通りです。よく「5棟10室基準」といわれるものです。

 

・1戸建て:5棟以上

・アパート等:独立の居室が10室以上

 

不動産所得の損失を他の所得から差し引く「損益通算」

不動産所得において発生した損失は、他の所得から差し引くことができます。これを「損益通算」といいます。

 

10種類ある所得類型のうち、損益通算が認められるのは「不動産所得」「事業所得」「山林所得」と、「譲渡所得」の一部のみです。頭文字をとって「富士山上(ふじさんじょう)」といわれることがあります。

 

これらのうち、サラリーマンにとって現実的に利用可能なのは「不動産所得」と「事業所得」です。つまり、不動産投資(不動産所得)か、それ以外の副業(事業所得)で損失を出すということです。そして、問題なく認められるのは「不動産所得」ということになります。

 

どういうことかというと、不動産投資以外の副業については「事業所得」と認められず「雑所得」扱いになってしまうケースがあるからです。「雑所得」とされてしまうと損益通算を受けられません。

不動産投資による節税の注意点は?

このように、不動産投資を行うと、建物について、賃料収入を上回る減価償却費を計上して損失を出し、それを他の所得と損益通算するという形で税金を抑えることができます。

 

しかし、税金を減らすことができても、賃料収入をきちんと得られなければ、最終的に損をしてしまうことになります。したがって、物件選びには慎重を期す必要があります。

 

また、償却が終わって節税の目的を達したあとは物件を売却することになりますが、売却は購入から5年経過後にするのがおすすめです。売却代金は「譲渡所得」として分離課税の扱いを受けますが、5年以内だと税率が40%なのに対し、5年経過後は20%と大幅に税負担が少なくなります。

 

不動産投資による節税は、「減価償却費の計上」と「損益通算」により行うものですが、そればかりにとらわれるとかえって損をしてしまうことになりかねません。収益を上げられるか、最低でも投下資本をきちんと回収できるかという視点を必ず持っていただく必要があるということです。

 

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