他月と比較して不自然な増減を見つけ出す
前回に引き続き、会社内部から数字を読む方法について見ていきます。
月次決算を行っている場合、勘定科目ごとに月次の数字の推移を見ることができます。月次の数字を読む場合、
●著増減している勘定科目はないか
●勘定科目間で増減に不整合はないか
●決算月は他月と比較し異常がないか
といった点に特に留意する必要があります。ここでは、特に損益計算書項目の勘定科目の推移を中心に考えてみましょう。
(1)著増漑している勘定科目はないか
勘定科目によっては、毎月安定的に発生している項目と、不規則に発生している項目があります。不規則に発生している勘定科目については、月次の推移を見たとき、当然月ごとに著増減することになります。一方、毎月安定的に発生している勘定科目については、当然月次推移も安定しているはずです。
もし、毎月安定的に発生している勘定科目について、著増減が月次推移に見られた場合、何が考えられるでしょうか。
安定的に発生する項目についても、何か異常な状況が生じていれば、ある月において多額に発生したり、発生しなかったりすることもあるでしょう。ですが実務上、よく起こりうるのは、「起票する月を誤ってしまった」こと、「同じ仕訳を複数起票してしまった」こと、「仕訳の起票漏れ」などというものです。このようなミスがあれば、月次推移を見たとき、他月と比較して当然不自然な増減となって表れます。
売上増で販売費減なら、販売費の計上漏れの可能性
(2)勘定科目間で増漑に不整合はないか
一般的に売上高が増加すると、それに伴い売上原価や販売費が増加すると考えられます。それは、売上を得るためには、その犠牲となる費用である売上原価や販売費(物流費や広告宣伝費など)も増加するだろうという考えがあるからです。
ではもし、ある月において売上高が増加しているにもかかわらず、販売費が減少していたらどうでしょう。コストダウンを実施することにより減少することもあるかもしれません。しかし、ある月のみ、このような推移が見られた場合、まずは販売費の計上漏れを疑ってみる必要があります。
前記のように損益計算書項目間での整合性として、給与(および賃金)と法定福利費・福利厚生費・通勤費といったものがありますが、貸借対照表項目と損益計算書項目との間での整合性として、預金と受取利息、有価証券と有価証券利息、固定資産と減価償却費、借入金と支払利息、などにも留意する必要があります。