不動産市況は空前の「売り手市場」であるにもかかわらず、人気エリアの優良物件になぜか買い手がつかないという話があとを絶ちません。その背景には、不動産仲介会社が売主と買主の双方から手数料を受け取りたいがための物件の「囲い込み」が横行しているという実態があります。

優良物件のはずが「売れない」理由を探る

本件は、市原さんのマンションがある地域周辺の不動産事情に詳しい担当エージェントAが担当しました。売却予定の不動産に関する悩みを抱え、セカンドオピニオンを求めて不動産エージェントを訪ねる方は少なくありません。不動産エージェントは「本当に売るべきか」という切り口から悩み解決をスタートするので、従来の不動産仲介会社とは違ったアドバイスを提供することが可能です。

 

市原さんの場合、売却を急いではいないものの住み替えのためまとまったお金が必要ではありました。また、「この広さを求めている方々がいるならぜひ購入してもらい、大切に使ってもらいたい」という希望の強い方でしたので、売らないという選択肢はあり得ませんでした。

 

問題は5,000万円が妥当かどうかです。築20年となると老朽化しているマンションも少なくなく、不動産価値が大きく減損してしまっているケースもあり得ます。建物の状態をよく知る必要があり、市原さんからお住まいの不動産について事細かにヒアリングしていきました。

 

一方で、市原さんが売却を依頼した大手不動産会社の報告には疑問点がいくつかありました。まず、マンション近隣の方からの問い合わせしかなかったということです。

 

狭い範囲での広告活動しか行っておらず、囲い込みを狙っている可能性が十分に考えられました。また、個人の問い合わせはあるのに他の不動産仲介会社からの問い合わせがないという点も疑わしいです。

 

この地域で手ごろなマンションを探している仲介業者であれば不動産の情報を知りたいと迷わず問い合わせを入れたくなるくらい、市原さんの物件には価値があると感じました。そこで、市原さんの不動産屋について、なぜ内見希望者が現れないのか、その理由を探るための情報収集を開始したのです。

 

 

大西 倫加
さくら事務所 代表取締役社長
らくだ不動産株式会社 代表取締役社長
だいち災害リスク研究所 副所長

 

長嶋 修
さくら事務所 会長
らくだ不動産株式会社 会長

 

悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

大西 倫加,長嶋 修

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産売却を検討する人は必読の一冊! 後悔したくなければ「不動産エージェント」を選択せよ! 売主第一主義か?自社利益最優先か? 不動産業者は千差万別! 正しいパートナー選びが売却の成否を分ける――

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