(※写真はイメージです/PIXTA)

外資系企業に勤めている方でも、残業代を請求することは可能です。籾山善臣弁護士(リバティ・ベル法律事務所 代表弁護士)が、外資系企業でも残業代をもらえる理由、外資系企業が残業代を支払わない手口、日ごろから外資系企業で働く方に集めておいていただきたい証拠について解説します。

残業代請求における最大のリスク、退職勧奨への対処法

おそらく、ここまで読んで、残業代請求をすることで、会社から退職勧奨をされたり、クビにされたりするのではないかと不安に感じている方もいますよね。

 

ただでさえ外資系企業では退職勧奨が多いことからはこのような心配も当然かと思います。

 

そこで、残業代請求における最大のリスクである退職勧奨に対して、どのように対処していくべきかについて、以下の3つの方法を紹介します。

 

方法1:退職後に請求する

方法2:パッケージ交渉をする

方法3:退職勧奨をされても拒否する

 

それでは各方法について順番に説明していきます。

 

■方法1:退職後に請求する

対処法の1つ目は、退職勧奨後に残業代を請求するという方法です。

 

退職勧奨をされた後に残業代を請求するわけですから、残業代の請求自体により退職勧奨をされることは回避できます。

 

例えば、万が一、退職勧奨をされた場合に備えて、日頃から残業の証拠についてはしっかりと記録しておいていただき、退職勧奨をされた際に未払い残業代の請求も含めて、退職条件の交渉を行うのです。

 

一番現実的な方法であり、実際このような方法により残業代を請求している方が多いように感じます。

 

ただし、残業代には消滅時効がありますので、退職勧奨をされた時点で時効が完成してしまっている部分については、請求できなくなってしまうのがデメリットです。

 

■方法2:パッケージ交渉をする

対処法の2つ目は、残業代請求後に退職勧奨をされた場合にはパッケージ交渉をする方法です。

 

条件次第では退職することには応じても良いという場合には、残業代請求をした結果、会社から退職勧奨をされた場合には、パッケージ交渉を行うことも考えられます。

 

先ほどの方法1は退職勧奨をされた後に残業代請求を行いパッケージ交渉を行う方法でしたが、方法2は残業代請求をした後に退職勧奨をされた場合にはパッケージ交渉を行う方法です。

 

方法2のデメリットは、会社から退職勧奨をされる時期が早まる可能性があることです。

 

他方で、自分で残業代を支給する時期を決めることができるため残業代が時効消滅することを防ぐことができます。

 

■方法3:退職勧奨をされても拒否する

対処法の3つ目は、退職勧奨をされても拒否する方法です。

 

残業代請求をした結果、会社から退職勧奨をされた場合であっても、退職勧奨に応じる義務は全くありませんので、これを拒否することができます。

 

この方法のデメリットは、退職勧奨をされた後、会社に居づらくなってしまうので、心理的な負担が大きい点です。

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※本連載は、リバティ・ベル法律事務所が運営する法律情報サイト『リーガレット(https://legalet.net/)』のコラムを転載したものです。

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