(写真はイメージです/PIXTA)

中国共産党第20回大会が終了し、習近平国家主席の続投が確定。これにより中国は民主、市場経済重視、国際協調への政策転換は不可能となりました。こうしたなか、世界では「脱・中国」の動きが進んでいると、株式会社武者リサーチの代表である武者陵司氏はいいます。こうした世界の動きは日本にどのような影響を与えるのか、みていきましょう。

党大会で宮廷革命強行…反対派完全排除へ

中国共産党第20回大会で宮廷革命が強行され、習近平氏が独裁体制を確立したことを世界に知らしめた。

 

胡錦涛前国家主席の閉幕式(10月22日)での強制的な退場劇は、翌日決定された新執行部(政治局常務委員)での反対派(共青団派)の完全排除と合わせて、中国が個人独裁という新体制へ移行したこと、歴史的転換が完遂したことを物語っている。

 

中国のリベラル勢力による民主、市場経済重視、国際協調への政策転換は不可能となった。

 

中国経済がバブルの崩壊にみられる経済成長の挫折、少子高齢化と急速な人口減少により、長期的に見て国力衰退過程に入ることは、ほぼ確実である。中国が経済力で米国を凌駕し、世界の覇権を握るという野望は、普通に考えれば、著しく困難な目標に見える。

 

台湾侵攻の可能性高まる

同時に、懸念されてきた台湾侵攻の可能性が一気に高まった、とみられている。習氏は共産党大会冒頭の政治報告で、台湾統一に向けて「武力行使(の選択肢)を決して放棄しない」と宣言した。

 

これまで「武力侵攻はないだろう」と想定していた多くの専門家の根拠、①国内の統治が持たない、②台湾の民心が離れる、③国際社会の批判が高まる、等は成り立たなくなった。反対勢力を抑圧する強権を握った以上、反発は力で抑えていけばいいと考える可能性が高い。

 

一段と危機意識を強める米国国防・外交当局

困難な長期展望を前に、独裁権力が軍事的冒険によって局面の大転換を図ることは、歴史上多くみられることである。

 

プーチンロシア大統領のウクライナ侵略をみるまでもなく、独裁権力は好戦的である。米国のマイク・ギルデイ米海軍作戦部長は10月19日、米シンクタンクのオンラインイベントに出席し、台湾有事に関して「2027年ではなく、私のなかでは22年、あるいは23年の可能性もあると思っている」「過去20年間、中国は常に目標を前倒しで実現してきた」と警戒感をあらわにした。

 

2021年にデービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)が27年までの台湾有事の可能性を指摘し世間を驚かせたが、それをさらに上書きした。

 

ブリンケン米国務長官も10月17日のスタンフォード大での討論会で「中国は現状に飽き足らず、これまでより速い時間軸で台湾統一を追求している」と強調した。

 

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※本記事は、武者リサーチが2022年10月31日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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