(※画像はイメージです/PIXTA)

年金不安のなか、税制上の特典を受けながら老後資金を積み立てる方法は貴重です。特に、厚生年金がない自営業・フリーランスの方にとっては切実な問題だと思います。しかし、全額所得控除の制度でもっぱら推奨される「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、投資のことがわからないということで敬遠する人もいます。本記事では、そういう自営業・フリーランスの方向けの全額所得控除の制度「国民年金基金」について解説します。

国民年金基金とは

国民年金基金とは、自営業・フリーランスの方のための私的年金の制度です。

 

公的年金制度は「2階建て」となっており、サラリーマン・公務員等には「2階部分」として報酬比例の厚生年金の制度があります。これに対し、自営業・フリーランスの方は厚生年金の対象外です。

 

そこで、自営業・フリーランスの方向けの「2階建て」の制度として1991年に設けられたのが、国民年金基金です。

国民年金基金の加入資格

加入資格があるのは、「国民年金の第1号被保険者である20歳~59歳の人」です。したがって、主婦、パート・アルバイト、学生、失業者等も加入できます。

 

また、以下の人も加入できます。

 

・60歳~64歳で国民年金に任意加入している

・海外に居住していて国民年金に任意加入している

 

他方で、国民年金の第1号被保険者であっても、以下の人は加入できません。

 

・国民年金の保険料が免除されている(産前産後期間の免除等は除く)

・農業者年金の被保険者

 

国民年金基金は2種類

国民年金基金には、「全国国民年金基金」と「職能型国民年金基金」の2種類があります。違いは以下の通りですが、事業内容はまったく同じです。

 

【全国国民年金基金】

・全国に42の支部がある

・住所地・業種を問わず加入できる

 

【職能型国民年金基金】

・「歯科医師」「司法書士」「日本弁護士」の3基金がある

・各基金によって定められた事業・業務に従事する人が加入できる

 

国民年金基金の2つの節税メリット

国民年金基金に加入すると、以下のように、税制上2つのメリットを受けられます。

 

1. 掛金が家族の分まで全額所得控除になる(社会保険料控除)

2. 年金を受け取ると公的年金等控除を受けられる

 

それぞれについて説明します。

 

メリット1. 掛金が家族の分まで全額所得控除になる

掛金については、iDeCoと合算して月68,000円が上限となっており、その全額が所得控除の対象となっています。

 

これにより、税負担が軽くなり、節税ができます。なお、厳密にいえば、年金を受け取る時点までの課税の先送りです。

 

ただし、同じ所得控除でも、適用される制度が国民年金基金は「社会保険料控除」であるのに対し、iDeCoは「小規模企業共済等掛金控除」であり、異なっています。

 

そして、「社会保険料控除」は、本人だけでなく、生計を同じくする配偶者等の親族の分についても対象となっています。

 

したがって、国民年金基金に加入すると、自分だけでなく、家族の分の掛金についても所得控除を受けることができるのです。このことはiDeCoにはないメリットです。

 

メリット2. 年金を受け取ると公的年金等控除を受けられる

国民年金基金は、年金を受け取ったら「雑所得」として所得税・住民税の課税対象となります。掛金の支払の時に全額が所得控除になる代わりに、年金を受け取る時点まで課税の先送りがされるということです。

 

しかし、課税の際に公的年金等控除を受けられるので、最終的な税負担は少なくなります。

 

公的年金等控除の金額は細かく定められています。詳しくは国税庁HP「タックスアンサーNo.1600 公的年金等の課税関係」をご覧ください。

 

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