「公的医療保険の穴」をカバーできるがん保険の合理的な保障とは?
このように、がんにかかった場合、公的医療保険制度ではカバーしきれなくなるリスクがあります。その意味で、民間のいわゆる「医療保険」とは異なり、「がん保険」は有効な選択肢の一つであるといえます。
では、がん保険はどのように選べばよいのでしょうか。今日、有益なのは以下の4タイプの保障だといえます。
1. がんと診断されたら「診断給付金」を受け取れる
2. 抗がん剤、放射線治療を受けたらその都度「治療給付金」を受け取れる
3. 先進医療を受けたらまとまった額の「先進医療給付金」等を受け取れる
4. 未認可の抗がん剤の治療を受けたら「自由診療抗がん剤給付金」を受け取れる
これらを全部組み合わせるのが理想ですが、保険料との兼ね合いで考えることをおすすめします。以下、それぞれについて解説します。
保障1. がんと診断された場合の「診断給付金」の保障
がんと診断された時点で「診断給付金」を一時金として受け取ることができるものです。
使い道が決まっていないので、入院や手術の費用に充てることもできるし、生活費の足しにもなります。
自由診療を受けた場合にその費用の足しにもなります。
ただし、この保障は保険料が割高なことが多いし、利用目的が特定されていない分、以下に述べる他の保障によってある程度カバーできるので、優先順位は必ずしも高くないといえます。
保障2. 抗がん剤、放射線治療に対する「治療給付金」の保障
「治療給付金」の保障は、抗がん剤、放射線治療を受けた場合に、その月ごとに一定額を受け取れるものです。
治療が長期化した場合にはこれによってカバーすることができます。
ただし、対象となる治療は基本的には保険診療に限られているので、後述する「先進医療給付金」「自由診療抗がん剤給付金」等との併用をおすすめします。
保障3. 先進医療を受けた場合の「先進医療給付金」の保障
先進医療とは、公的医療保険の対象となる保険診療と、一切対象とならない自由診療の中間にあるものであり、「技術料」が自己負担となっています。
がんの先進医療では、「陽子線治療」「重粒子線治療」が有名です。これらはいずれも「技術料」が数百万円かかります。そこで、「先進医療給付金」の保障があれば、技術料の実費をカバーしてもらえます。
なお、これらの治療は、全国でも限られた医療機関でしか受けられないので、旅費や家族の滞在費等もかかることがあります。そこで、保険会社によっては、旅費等もカバーしてもらえることがあります。
保障4. 未認可の抗がん剤の治療に対する「自由診療抗がん剤給付金」の保障
最後に、「自由診療抗がん剤給付金」の保障です。
近年、がんの治療では、「がんゲノム医療」「がん遺伝子検査」等によって、患者一人ひとりの遺伝子に着目して最適な抗がん剤を使用するということが行われるようになってきています。
そのなかで、もし、自分に最適な抗がん剤が国内で未認可であった場合、「自由診療」に該当するため、治療費を全額自己負担しなければならなくなることがあります。
そういった場合に、「自由診療抗がん剤給付金」の保障があれば、治療費をカバーできます。
昔のがん保険に要注意
なお、昔のがん保険は「入院給付金」「手術給付金」の保障が主流でした。なぜなら、かつてはがんにかかったら長期間入院し、手術を受けるのが当たり前だったからです。
しかし、現在はそうとは限りません。たとえば、抗がん剤治療の場合、通院治療であったり、入院するとしても抗がん剤の投与を受ける日の前後のみであったりします。
治療方法が進化につれ、がん保険も進化するということです。
昔入ったがん保険は、現在のがん治療に対応していない可能性があるので、見直してみることをおすすめします。
まとめ
がんになった場合、他の病気と異なる特質として、治療が長引く可能性や、公的医療保険制度の対象とならない自由診療を受けることになる可能性があります。
そういった場合に、がん保険は、上手に組めば、公的医療保険だけではカバーしきれない部分を無駄なくカバーしてくれる可能性が高いものです。
がん保険への加入を検討する場合は、本記事で挙げた4種類の保障を軸に考えることをおすすめします。
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