(※画像はイメージです/PIXTA)

世界各国の中でも高い比率となっている日本の「貧困問題」。日本が世界経済をけん引していた時代を知っているバブル世代以降の人々には現実味を感じられないかもしれないが、いまの日本では食事にも困窮する世帯が相当数存在している。実際の数字を追っていく。

日本の貧困率は米国に次ぐ高さ

「日本」と「貧困」。この言葉の組み合わせにいまひとつ現実味を感じられないのは、昭和生まれのバブル景気を謳歌した世代ではないだろうか。数年前に報じられた「子どもの7人に1人が貧困状態」というニュースもきっと、信じられない思いで聞いたにちがいない。

 

貧困には「絶対的貧困」と「相対的な貧困」があり、「絶対的貧困」は生活を維持できない、生活できない状態を指す。一方の「相対的貧困」のほうは、その国の生活水準を下回る状態を指し、日本の相対的貧困は先進国のなかでも高いとされている。

 

OECDの調べでは2018年、日本の貧困率は15.7%で、主要42ヵ国中12番目、先進7ヵ国に絞ると、米国18.0%に次ぐ高さだ。

 

【先進7ヵ国の貧困率】

アメリカ:18.0%

日本:15.7%*

イタリア:14.2%*

イギリス:12.4%

カナダ:11.6%

ドイツ:9.8%*

フランス:8.4%


出所:OECD(2019年)

*は2018年のデータ

 

経年で追うと、1990年代の日本の貧困率は12~13%程度だった。それが、不良債権問題が深刻化したあとの2000年代には2ポイント上昇し、以降、15~16%程度で推移している。

 

「子どもの貧困」を見てみると、日本は14.0%で主要42ヵ国中19位。先進7ヵ国では米国、イタリア、イギリスに次ぐ水準となっている。「子どもの貧困」については、以前から12~14%台で、2000年台を15%超えていたのだが、2018年の最新の数値が発表された際、改めてその言葉のインパクトが世間に衝撃を与え、大きく報道された感がある。

ひとり親世帯の貧困率48.4%、先進7カ国で最も高い

また、近年においてよく聞かれるのが「ひとり親世帯の貧困」だ。

 

ひとり親世帯貧困率は日本では48.4%で、主要41ヵ国のなかで4番目に高く、先進7ヵ国のなかでは最も高い。経年で見ても、日本の「ひとり親世帯の貧困率」は世界でも高い水準にあり、改善の方向は見られない。

 

ひとり親世帯となった背景にはそれぞれの理由があるだろうが、経済的に見る限り、「ひとり親では子どもを育てにくい」というのが日本の実情だ。

 

【先進7ヵ国の「ひとり親世帯」の貧困率】

日本:48.4%

アメリカ:45.7%*

カナダ:43.0%

イタリア:33.4%

ドイツ:27.2%

フランス:24.0%

イギリス:22.3%


出所:OECD(2018年)

*は2017年のデータ
母子世帯の平均年収は200万円…半数が非正規社員

 

経済的に厳しいひとり親世帯だが、ここ最近のインフレ傾向は、所得の低い世帯に打撃となっている。SNS上にも、ひとり親世帯の窮状を訴える書き込みが散見される。

 

平成28年に厚生労働省が行った『全国ひとり親世帯等調査』によると、ひとり親世帯のうち、父子世帯は平均年収398万円だが、母子世帯は200万円。養育費の受取は、父子世帯が3.2%、母子世帯の24.3%だ。「母と子のひとり親世帯」が経済的に厳しいのは明らかだろう。

 

父子世帯と母子世帯、いずれも「ひとり親世帯」だが、その差は大きい。要因としてまず考えられるのが、親の雇用形態だ。父子世帯のうち89%が正規社員だが、母子世帯は47%。母子世帯の過半数は非正規社員なのである。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、女性・非正規社員の平均給与(所定内給与額)は月19万5,400円、中央値は18万4,100円。手取りにするとわずか14万円。該当する母子世帯は基本的にこの収入で生きていくことになる。

 

また、ひとり親世帯の貧困線(世帯の可処分所得の中央値以下)は、2018年で127万円とされている。月収にすると10万5,000円程度。上述したとおり、日本のひとり親世帯の貧困率は48.4%とほぼ過半数。つまり、ひとり親世帯の半数は、たった月10万5,000円で生活しなければならない。

 

もちろん、すべてのひとり親世帯が困窮しているわけではなく、養育費や給付金などを得て、さほど不自由なく暮らしているひとり親もそれなりにいるだろう。しかし、毎日生きていくだけで精いっぱいのひとり世帯が大勢いるという現実が、いまの日本にあるということを、忘れてはならないといえる。

 

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