失業給付金がもらえる期間は充電のチャンス
■パラレルキャリアを実践
岩﨑さんは7年前に大手の製薬会社を早期退職されてから、しばらくは充電期間と位置づけ、ハローワークの職業訓練セミナーに参加されていました。
「知識の整理ができ、学ぶことも多く、予想以上に面白かったです。特に若い人やいろいろな年代の人たちと知り合いになれたのが良かった。今でも時々ラインで連絡を取り合っているんですよ」と岩﨑さん。
「定年後、すぐには就活をされなかったのですか?」と聞いてみました。
「雇用保険の失業給付金をもらえる期間をむしろ充電のチャンスだと捉えて、リフレッシュもしながら、この先、自分がどう生きたいかを考えました。現役時代には日々の業務に追われていて、自分と向き合う時間がなかったので、しばらくゆっくりできた時間は大きかったと思います」
岩﨑さんは現役時代に営業部門で営業所長や社員研修、戦略企画スタッフを経験され、後輩や部下の育成に関われたことが自分の喜びだと気付かれたそうです。
そんな背景もあって、職業訓練セミナー受講中も、仲間から相談があればアドバイスをしたり、無償でワークショップを開催したりすることで、自分は必要とされているという手ごたえを感じられたそうです。
その後友人の経営する調剤薬局や中小企業などでも無償でワークショップをやりながら個人を対象としたプログラムも展開していました。すると、有償でもワークショップの依頼をされるようになり、個人事業主になるに至ったとのことでした。
こうして一人で個人事業主として仕事を続けていたところ、前職で知り合いだった友人から連絡がありました。友人は今働いている会社で人材育成が課題と考えていたところ、岩﨑さんのことが頭に浮かんだそうです。
「岩﨑さん、一緒に働いて今の会社をさらに良くしてもらえない? 会社の人に話してみるから」と入社を誘ったのです。
ちょうどその時、社長も会社の人材育成を強化したいと思っていたらしく、岩﨑さんは直接社長と話す機会ができたそうです。話してみると岩﨑さんの考え方は社長の考える育成方針と合致したらしく、ぜひ入社してほしいという話になったそうです。
既に個人事業主だったので、また雇用の関係になることに戸惑いもあったそうです。すると「個人事業主のままで継続していいので、会社とは契約社員でお願いします」と言われたのです。
「少し考えたけど、こちらのことに配慮してくれ、とてもありがたい話なのでやってみようと思いました」と引き受けることにしました。
個人事業主に契約社員が加わり、複数の雇用形態が同時進行することになり、忙しくなってきたそうです。