失敗しなくても起こるのが「医療事故」…見落としがちな「医療事故」の定義を専門家が解説 (※写真はイメージです/PIXTA)

患者の身体や命、その後の人生を大きく左右する医療現場において、安心・安全の徹底は必要不可欠です。日々さまざまな対策が講じられていますが、完全に防ぐことが難しい「医療事故」。「医療事故」が起こる原因と、それらを防ぐための「医療安全」という専門分野について、「医療安全管理」の第一人者であり「医療コンフリクト」に関する講演・研修、嘱託産業医などで活躍する永井弥生ドクターが解説します。

安心・安全な医療には病院側と患者側の相互理解が必要

病院は病気やけがを治すところ、安全に安心して医療を受けるのが当然、と思っているかもしれません。もちろん医療従事者もそうありたいと思っています。

 

しかし、医療は不確実、予測できない様々なことも起こります。

 

「医療事故」と聞くとどんなことを考えるでしょうか。

 

「病院のミス」「病院が悪い」「間違えた人が悪い」そんなふうに思うかもしれません。「医療事故」とまではいかなくても、「治療がうまくいかなかった」「間違えられた」「病院で嫌な思いをした」など様々な経験をお持ちの方もいるでしょう。

 

では安全、安心の医療とは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか? 実際に病院ではどのような体制がとられているのでしょうか? また、いざ「医療事故」やトラブルが起こってしまった際にはどう対応しているのか? お互いが気持ちよく、医療を提供し、それを受けるにはどうしたらよいのか? など患者さまから病院への疑問や、現場が抱える問題はたくさんあります。

 

さらに、できれば関わりたくはない「医療事故」について。気持ちよく賢く医療を利用するために大事なことについてなども併せて、「医療安全」というものに専門的に関わってきた立場からお伝えしたいと思います。

病院には「医療安全」を担当する部署がある

私は合計すると6年半、大学病院で「医療安全管理部」の仕事をしていました。最初の2年間(2008年~2009年)は診療科の仕事をしながら兼任していました。その後3年間離れたのち、再度、今度は専任の「医療安全管理者」として、2013年から4年半務めました。

 

ターニングポイントとなったのが、群馬大学病院での手術後の「医療事故」を発覚させた2014年です。この後の3年半はこの事故の対応にかかりきりでした。

 

どの病院にも「医療安全管理」を担当する部署があります。

 

「医療安全管理部」(病院によって名称はいろいろです)は通常、医師、看護師、薬剤師など多職種のメンバーからなります。ある程度大きな病院では、看護師には専従の「医療安全管理」だけを担当する人がいます。

 

どの病院でも看護師は最大人数を有する職種であり、患者さんに直に接する機会も多いので、専従者をおいて対応しています。

 

医師の専従者はこれまで少なかったのですが、群馬大学病院の「医療事故」以降、厚生労働省の方針で「特定機能病院」という大学病院を含む大きな病院では、「医療安全管理」専従の医師をおかなければならないということになりました。この事故をきっかけに「安全管理体制」「医療安全」に対する意識は大きく変わりました。

 

病院によっては薬剤師が専従者となっていることもあります。薬の間違いは大きな事故につながるので、正しい知識を持って対応することが必要があるからです。

 

通常、「医療安全管理部」は多職種のメンバー数名で組織されます。病院内の各部門にも担当者がおり、連携して、事故の予防のための日常の対策、職員への啓発など、「医療安全」のために活動する体制を整えます。

 

「医療安全管理部門」の責任者には副病院長(医師)など、病院を代表する立場の者が就いていることが多く、大きな事故には病院として対応していきます。

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    皮膚科医・産業医・医療コンフリクトマネージャー・医学博士

    山形大学医学部卒業。群馬大学病院にて皮膚科准教授として勤務するとともに医療コンフリクトマネジメントの第一人者として活動。2014年、同院の医療安全管理部長となり腹腔鏡下肝切除術の医療事故を指摘、その後の対応にあたった。

    2018年、オフィス風の道設立。皮膚科診療に加え、医療コンフリクトに関する講演・研修、嘱託産業医として様々な業種20社を担当するなど活動を広げている。著書に「褥瘡がみえる」(南江堂)、「これからの医療 〜5つの「患者力」があなたと医療を守る」(ごま書房新社)など

    風の道HP
    https://kazeno-michi.com

    著者紹介

    連載「皮膚科医」と「医療コンフリクトマネージャー」。2つの顔をもつドクターが医療の疑問を解説!

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