納得の「生き方」「死に方」をするために身に着けるべき、「5つの患者力」【専門医が解説】

納得の「生き方」「死に方」をするために身に着けるべき、「5つの患者力」【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

患者の身体や命、その後の人生を大きく左右する医療現場において、安心・安全の徹底は必要不可欠です。日々さまざまな対策が講じられていますが、完全に防ぐことが難しい「医療事故」。「医療事故」が起こる原因と、それらを防ぐための「医療安全」という専門分野について、「医療安全管理」の第一人者であり「医療コンフリクト」に関する講演・研修、嘱託産業医などで活躍する永井弥生ドクターが解説します。

2つのタイプの「医療事故」

「医療事故」には、エラー(ミス、過失)が原因のものと、クオリティ(質)の問題であるものの2種類があります。「医療事故」の詳細を調査するにあたり、人的エラーのある・なしの判別は分かりやすいものであり、病院側も速やかにミスと認めて謝罪し対応します。

 

ですが、後者のクオリティ(質)に問題があった場合――「診断が誤っていた」「治療にミスはなかったが、結果は伴わなかった」などですが、これはすぐには病院が責任を負うべきレベルの問題があったのかどうか、判断し難いこともあります。

 

結果が悪かったときには振り返って検討するわけですが、人は自らの行動を振り返った場合、あのときはこうすればよかった、ということはよくあるものです。医療においてもその時点ではこう考えた、最善を尽くしたが結果が悪かった、ということは起こりえます。

 

「求められる水準」という表現をされることがあります。その時点で選択したことが妥当だったか? 客観的にみて(第三者からみて)やむを得ない判断がなされていたか? などを確認していく必要があります。

公正な調査のために

「医療事故」には様々なケースがありますが、「エラー(ミス、過失)が起きた」「予測外のトラブルが起こった」「(エラーはないが)結果が伴わなかった」というときにはただちに調査を行います。直接的に問題を引き起こした「出来事」だけに焦点を絞らず、背景にひそむ問題を掘り起こせるよう広い視野をもち、ときに外部の方による客観的な視点も交えて調査していく必要があります。

 

調査委員会の形式は、病院内の確認だけで判断する場合、外部の方にも入っていただいて正式な調査を行う場合、外部の方だけで行う場合など様々です。

 

私が関わった「医療事故」は外部の方のみで調査委員会をつくりました。医療現場のみでなく、病院関係者は委員会のメンバーにはなりませんが、資料をそろえたり、依頼されたデータをまとめたりと、やることは山のようにあります。

 

まず、調査で行うのは事実の確認です。ありとあらゆる資料を確認します。患者さんのカルテだけでなく、病院の体制、手術であれば手術室の状況や関わる他部署の状況など、その背景まで広く確認していきます。また、調査のために患者さんやご家族にお話をうかがうこともあります。

 

事実の確認が出来たら、次は、それに対する評価をしていきます。何が、どのように、問題だったのか? 客観的に分析し、さらに事故の再発防止につなげるのが調査の目的です。

 

「病院関係者も調査に加わっているのならば、公正な評価とは言えないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、調査委員会メンバーに病院外部の方が入っていれば、第三者視点の意見が得られます。

 

一般的に、外部の方のみの調査委員会による調査は、必要と考えられる大きな事故のときに行われます。多くのケースでは、病院内のメンバーで検討したり、外部委員として数名の派遣を依頼して実施されます。

 

ここでは詳しくは述べませんが、死亡事故のみが対象となる「『医療事故』調査制度」という制度があります。この制度に則る場合には、病院内のメンバーに外部の委員が加わって行うというスタイルが基本になります。

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