写真:GTACスタッフ

中小企業支援など本来の事業目的が相次いで失敗に終わり、不良債権を膨らませることとなったスリランカの国有銀行であるLankaputhra銀行。本連載の第2回では、そのLankaputhra銀行が抱える最大の不良債権となったTri-Star社への融資についてお伝えします。

新会長曰く、不良債権問題は「白昼の銀行強盗」

Lankaputhra銀行は15社の企業や組合に貸した10億2000万スリランカ・ルピー(以下、Rs)のほとんどが手元に戻って来ていない。1社を除く全債務者が、一部の返済すら出来ていないのだ。その中には、ほぼ休眠状態の工場を抱えるアパレル企業に貸した5億5500万Rsも含まれているが、この融資分は銀行のバランスシートを見ると資産に計上されていない。「まさに白昼の銀行強盗です」と今年1月にLankaputhra銀行の新会長に就任したLasantha Goonewardena氏は、我々の取材に対し声を荒げた。

 

Lankaputhra銀行によって、7億3000万Rs相当の国有施設を担保に、問題となる一連の衣料品工場への融資がなされた。このスキームのもと未払となっている1億7400万Rsは、銀行のバランスシート上では負債として示されている。しかし、取材した会長も頭取も返済分がどう処理されているかは説明できなかった。両者ともこの融資は簿外のものだったと繰り返し主張している。

巨額の債務不履行に対処せず

最大の不良債権(バランスシートに未計上)は、Tri-Star Apparel Exports社(以下、Tri-Star社)に貸した5億3000万Rsである。この会社は、アパレル製造業の草分け的存在である故Kumar Devepura氏が支配し、現在はDevapura氏の家族が経営している。

 

2007年2月に締結されたTri-Star社に対する融資は、無利子であり、Lankaputhra銀行に手数料や金利による収入がもたらされることはない。銀行は単なる世話役にすぎなかった。

 

融資条件としてTri-Star社は自社株の23%を政府に譲渡すること、財務省の役人を含む優秀な人材を役員に採用すること、そして、毎月500万Rsの返済を要求された。しかしこれらが順守されたかどうかは定かではない。

 

議会で設立された公営企業の監督を目的とする委員会(COPE)の報告書によると、Lankaputhra銀行にはTri-Star社に対する不良債権に加え、Keen Wear International社に対し930万Rs、Osaka Garments社に対し880万Rsの不良債権が残っているが、いずれの会社も倒産している。Lankaputhra銀行は、莫大な融資額を回収するべく倒産前の両社に対し訴訟を起こしているが、Tri-Star社に対する措置は何も取らなかった。

 

次回は取材を拒否するLankaputhra銀行の姿勢をお伝えします。

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    この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年8月に掲載した「How to Rob a Bank」を、翻訳・編集したものです。

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