為替介入はどのくらい効果があるのか?
では、為替介入の効果はどの程度見込めるでしょうか。
前回、2022年9月22日の為替介入では、1ドル145円台後半だったのが一時的に1ドル140円台までに押し戻されやや円高になりましたが、その後、改めて円安に振れており、10月13日時点で146.5円と、結果的に、介入前よりも円安になっています。
この点について、一時的に効果があったと評価することもできますし、焼け石に水だったとみることもできます。
しかし、いずれにしても、為替相場は通貨間の需給関係によって決まります。そして、為替相場の変動には様々な要因が影響します。
大きな要因の一つが、日本とアメリカの金融政策の違いです。
日本政府・日銀は、2013年以来、マイナス金利や、金融機関が保有する国債の買い上げ等の「金融緩和」を一貫して継続しています。
これに対し、アメリカは、新型コロナウイルス禍に対する経済対策として金融緩和政策をとっていたのが、急激なインフレに転じたため「引き締め」に転換し、インフレ対策として「利上げ」を相次いで行っています。
その結果、「円売り」と「ドル買い」が促進されています。
また、アメリカ以外にも多くの国が、金融緩和政策から引き締めに転じています。
その大きな流れのなかで、日本が単独で手持ちの「外貨預け金」の範囲内で「円買い・ドル売り」を行ったところで、その効果は限られているということです。
しかも、日本銀行金融市場局の統計によると、2021年における東京外国為替市場での「ドル/円」の1営業日あたりの平均取引量は、「スポット」が42億4,200万ドル(約6,216億円)、「スワップ」が415億4,100万ドル(6兆874億円)となっています(1ドル146.5円で計算)。
これに対し、2022年9月22日の為替介入で投入された額は先述のとおり2兆8,382億円であり、東京外国為替市場での1営業日あたりの取引量の半分にも満たないことになります。
このことからしても、日本が単独で為替介入しても限られた効果しか得られないであろうことは明らかです。
昨今の円安は、おりからの物価上昇や消費税増税でただでさえ苦しい国民の生活を直撃しています。
2022年10月11日から入国者に対する様々な制限が緩和され、海外からの旅行客が急増することが期待されているといわれます。日本は物価が安いということで人気があるそうですが、逆にいえば、日本が「安い国」「貧しい国」になってしまっているということでもあります。
為替介入のような局地的・一時的な方法ではなく、経済政策全体を視野に入れた総合的かつ中長期的な取り組みにより対処していくことが求められます。
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