為替介入とは何か
まず、為替介入のしくみについてお伝えします。
為替介入は正しくは「外国為替平衡操作」といいます。為替相場が急激に変動した場合に、通貨当局(日本では財務省と日本銀行)が、外国為替市場で通貨の売買を行うことです。
今回の「円安ドル高」のケースで行う為替介入は、ごくおおざっぱにいえば、米ドルを売って円を買うことです。
これにより、米ドルの流通量が増えると同時に円の流通量が減り、円の価値が上がり、円安が抑えられることを目指します。
為替介入の手続は、財務省が日本銀行に指示を行い、日本銀行が代理人として実行する形で行います。
為替介入に必要な米ドルはどこから調達するのか?
「円安ドル高」を抑えるための為替介入を行う場合、「円買いドル売り」に使う米ドルが必要です。では、その米ドルはどこから調達するのでしょうか。
ここで登場するのが、「外国為替資金特別会計」(外為特会)というものです。これは、財務省が所管しており、このなかに、米ドルが資産として保有されています。
外為特会の外貨建て資産の内訳等は財務省HPで公開されており、これによると、2020年(令和2年)末の段階で、為替介入に充てられる可能性がある「外貨預け金」の残高が11.5兆円となっていました。
この「外貨預け金」11.5兆円の大半が米ドルだとすると、計算上は、この11.5兆円を限度として為替介入を行えるということになります。
ただし、「外貨預け金」の全額を為替介入のために投入してしまうことは現実的ではありません。
前回の為替介入(2022年9月)ではいくら投入されたか?
今回の円安に対する為替介入は、すでに2022年9月22日に1回実施されています。
その時にいくら投入されたかは、財務省がHPで公表している月ごとの実施状況のデータによって確認できます。
2022年(令和4年)8月30日~9月28日の金額は、2兆8,382億円であり、この大半が9月22日の為替介入の際に投入されたとみられます。
為替介入前の「外貨預け金」の残高が仮に2020年(令和2年)度末と同じ約11.5兆円だったとすると、約4分の1が投入された計算になります。
なお、それ以前の記録を確認すると長らく「0円」が続いており、最後に為替介入が行われたのは2011年(平成23年)11月でした。このときの為替介入は、東日本大震災の後の急激な円高ドル安に対処するために「米ドル買い・円売り」を行ったものであり、今回とは逆です。
「米ドル売り・円買い」の為替介入に限ってみると、1998年6月を最後に24年間行われていませんでした。