2023年は日本経済と企業業績が世界で最も堅調!?
企業収益、日本のみアップトレンド
2023年にかけて日本株式は世界最高のパフォーマンスが期待される。第一に日本経済と企業業績が世界で最も堅調と予想される。2023年の経済見通しは日本が先進国中で最も高くなると予想されている。IMFは7月時点で(米国1.0、ユーロ圏1.2%、日本1.7%)、OECDは9月時点で(米国0.5、ユーロ圏0.3%、日本1.4%)と予想している。
日本経済は、①世界的金融引き締めのなかで緩和基調が維持されていること、②コロナパンデミックに対する過剰反応から最も経済の落ち込みが大きかったが、その反動(リベンジ消費など)が期待できること、③円安のプラス効果が発現すること、などが予想されるからである。ことに円安の波及効果は甚大となるだろう。
超円安により日本はかつての高物価国から新興国並みの低物価国となったが、低物価国日本へと世界の需要が大きく集まり始めている。
まず輸出競争力が高まり輸出数量が増加し始める。また輸入品を国内製品に代替することが起きる。
かつての超円高の時代に日本企業は海外に工場を移し、国内需要は安い中国品に蚕食されたが、今その逆のことが起きつつある。割安になった日本で商品を調達し海外へと転売する越境EC(イーコマース)が活況を呈している。
この日本への需要集中はまだ始まったばかりであり、これが奔流のように力を増していくことは疑いない。
数百億円規模の国内設備投資が急増
国内設備投資急増の兆しが表れている。9月の日銀短観の2022年度の設備投資計画は、全産業16.4%、製造業21.2%と過去最高の伸びとなった。シリコンウエハー主体の非鉄金属、化学、電機、機械などの円安の恩恵を受けるハイテク産業の伸びが大きい。総額1兆円に達するTSMCの熊本工場建設も動き始めた。
また、スバル大泉工場でのEV生産棟60年振りの新設、ルネサスエレクトロニクス甲府パワー半導体工場再稼働、SUMCO伊万里新工場建設、住友金属工業ニッケル電極材の新居浜新工場建設、アイリスオーヤマ中国家電生産の一部国内移管、京セラ鹿児島川内工場半導体パッケージ用新棟建設、ダイキン工業中国依存のサプライチェーン国内移管、キャノン21年振りで宇都宮に露光装置工場新設、安川電機基幹部品生産の国内回帰と福岡行橋工場建設、富士フィルムバイオ医薬品受託生産富山工場建設、など数百億円規模の投資プランが続々と動き始めている。
今後、円安定着がはっきりするにつれて国内への工場回帰が強まり、投資の伸びはさらに高まるに違いない。
雇用面においても、経済活動の再開に伴い非製造業の人手不足感が強まっている。9月短観では人員が「過剰」と答えた企業から「不足」の割合を差し引いた雇用人員判断指数(DI)は全産業でマイナス28と4ポイント低下、先行きもマイナス31とさらなる人手不足が見込まれている。すでに過去最高水準にある企業業績は円安効果もありさらなる上方修正は必至である。