極端な日本株の割安さは、歴史的投資チャンスの前触れ
株や債券などの金融資産の価格は利回りから類推することができる。2大金融商品、債券と株式の価格は歴史的に見て大きく揺れ動いてきた。
日本10年国債利回りは0.2%なので、投下資本を回収するのに500年かかると計算される。他方、株式は益回り(1株利益/株価)が8%なので、投下資本を回収するのに12.5年で済む計算となる。ここから株式は債券に対して1対40と言う極端な割安状態にあることがわかる。
この「債券と株式の極端な価格差」は、世界を見渡しても、日本の歴史を振り返っても、かつてなかったことである。
ちなみに、米国では国債利回は3.8%なので債券の元本回収に26年を要す。それに対して株式は益回り7%なので回収には14年かかる。株式と債券との価格差は1対1.8と、日本に比べればだいぶ小さい。
図表4により日米の国債利回りと株式益回りの推移を振り返ると、株式割高(債券割安)時代と、株式割安時代が交互に到来していることがわかる。そして現在、日本の株式の相対価格は、陰の極と見えるほど割安であることがわかる。
同様の極端な株式の割安さは、1950年代初頭の米国株式爆騰前夜にしかなかったことである。5年10年後になって、振り返ると今がかつてない株式投資チャンスの時代であったことがわかるだろう。
2023年には日経平均35,000円も夢じゃない!
好需給、自社株買い、個人、外国人に加えて、本邦機関投資家が参戦する
債券を売った(または預金を下ろした)お金で株を買うことで、とてつもなく有利な運用が可能になっている。日本の家計金融資産の74%(1,089兆円)は利息が限りなくゼロに近い現預金・債券で占められ、益回りが8%という有利な株式・投資信託は全体の20%(295兆円)に過ぎない(比率は保険・年金・定型保証除く)。
著しく割高な債券と現預金に巨額の資本が退蔵されているが、この巨額な資金がいよいよ株式投資に向かって流れ始めようとしている。
資産所得倍増政策へと舵を切った岸田政権のNISA改革もあり、「株式投資で資産形成を」という動きは国民的な広がりを見せている。NISA口座の急増、NISA口座からの買い付け額は指数関数的増加ペースにある。積み立てNISA口座からの買い付け額は倍増ペースの伸びを続けており、2023年には2兆円台に乗せるであろう。
一般NISAからの買い付け(2021年年間2.7兆円、2022年1~3月1.4兆円)を合算すると、個人の株式積立投資が年間10兆円を超え、一大投資主体として登場するのはすぐ先である。
また、企業の自社株買いが急増している。2021年度8兆円と過去最高になったが、2022年度は9~10兆円ベースに上ると見られている。
さらにアベノミクス時以降23兆円を買った外国人投資家は2020年にそのすべてを売却しつくし、日本株式はアンダーウェイトの状態にある。彼らは米国、中国、欧州、韓国など各国株式が固有の問題を抱えているなかで、消去法的に日本の輝きを無視できなくなっていくだろう。
こうした状況の下で、長らく日本株投資に後ろ向きであった本邦機関投資家が参戦する。日経平均2023年35,000円、2024年40,000円は射程内にある、と言っていいであろう。
武者 陵司
株式会社武者リサーチ
代表
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