(写真はイメージです/PIXTA)

世界経済の不透明感が増すなか、国内の投資信託はどのように動き、そこにはどのような要因があったのでしょうか? ニッセイ基礎研究所、前山裕亮氏の分析です。

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    外国株式や内外REITでも逆張り?

    9月は外国株式ファンドにも3,800億円の資金流入があり、8月の2,500億円から1,300億円も増加した。SMA専用のもの(【図表1】紺棒)には300億円と8月とほぼ同規模であったが、それ以外のインデックス型に2,900億円、アクティブ型に600億円とタイプによらず8月の2,200億円、10億円から増加した。個別に9月に売れた外国株式ファンド(【図表3】赤太字)をみても、インデックス型、アクティブ型に関係なく概ね*18月から資金流入が増加した。

     

    2022年に入ってから外国株式ファンド、特に米国株式などのインデックス型のものは、9月のように外国株式が下落した月ほど資金流入が膨らむ傾向がみられる。国内株式ほどではないが、外国株式もインデックス型を中心にタイミング投資をする投資家が多いものと思われる。

     

    その他にも9月は国内REITファンドに500億円、外国REITファンドに300億円の資金流入があり、8月から100億円、200億円増加した。また、バランス型ファンドに1,200億円の資金流入があり、8月の900億円から300億円増加し、引き続き販売が堅調であった。株価やREIT価格が大きく下落する中、積極的に投資をする投資家がいる一方で、先行きに対する不透明感が高いことや価額変動が大きいことを嫌気している投資家も少なからずいるはずである。バランス型ファンドは、そのような投資家の資金の受け皿になっていると思われる。

     

    なお、外国債券ファンドと国内債券ファンドについては、資金流入が8月から減少した。特に外国債券ファンドについては300億円と8月の1,300億円から約1,100億円も減少した。ただし、9月に減少したというよりも、どちらかというと8月が新設ファンドやSMA専用ファンドによって外国債券ファンドと国内債券ファンドへの資金流入が膨らんでいた面が大きい。実際に外国債券ファンド、国内債券ファンドともに新設ファンドやSMA専用ファンドを除外すると、資金の動きは8月も9月も±100億円以内であり、資金の流出入はほぼなかったといえるだろう。

     

    *1:「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D毎月(ヘッジなし)予想分配金提示」は9月に売れた外国株式ファンドの中で唯一、8月から資金流入がやや減少した。ただ、これは分配金が9月に引き下げられ、それに伴い分配金再投資に伴う資金流入が減少した影響によるところが大きく、このファンドの9月の資金流入も分配金再投資を除外すると8月からやや増加していたと推測される。

    一部の売りポジションを活用したファンドが好調

    9月に高パフォーマンスであったファンドをみると、ロシア・ルーブルが2.31円から2.52円と1カ月間に対円で9%も上昇したこともあり、一部のロシア・ルーブルの通貨選択型ファンド(青太字)が好調であった(図表4)

     

    また、一部の売りポジションも活用するファンド(赤太字)も、相対的に高パフォーマンスをあげていた。その他、9月は1ドル138円台後半から145円目前まで円安ドル高が進んだため、単純なドル投資のファンド「ドルマネーファンド」(緑太字)が4.5%もの収益を上げていた。

     

    【図表4】 2022年9月の高パフォーマンス・ランキング

    ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年10月7日に公開したレポートを転載したものです。

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