(※写真はイメージです/PIXTA)

給料は上がらないのに、ガソリン代や電気代、食料品はどんどん値上がり──。投資業界では、そうした人々の将来への不安から「少しでも資産を増やしたい」という切実な思いをターゲットにしたマーケティングが盛んです。日本も政府主導で空前の投資ブームと言えるでしょう。しかし、そうして投資行為に着手する前に、一歩立ち止まり、投資の本当の怖さやウラ側についてよく知っておく必要があります。鹿子木健氏の著書『投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側』(自由国民社)から一部抜粋しお届けします。

年金は「積み立て」ではなく「保険」

年金についての最大の誤解は、年金が積み立てた金額を将来受け取れる仕組みではなく、「保険」だということです。

 

一般に保険とは、何か悪いことが起こったときに、保障される仕組みです。けがをしたときに支払われるのが傷害保険、死亡したときに支払われるのが生命保険、地震で被害を受けたときに支払われるのが地震保険です。

 

では、年金「保険」というと、仕事をリタイアした後、「長生きしてしまったとき」に支払われます。本来、長生きすること自体は悪いことではなくむしろよいことです。

 

しかし長生きという「リスク」に備えるために年金「保険」が存在します。リスクに対する備え(これをリスクヘッジと言います)ができていれば、安心して過ごせます。安心して長生きできるということです。

 

年金は保険ですから、保険料を支払わなければならないし、保障は保険料の支払いの条件を満たしたときに受けられます。保険料を納めていなければ万一のことがあった場合にも、助けてもらえないのです。だから保険料を支払うことが重要です。

 

たしかに年金保険料の負担は、今後だんだん大きくなっていくかもしれませんし、受け取れる年金額も減っていくでしょう。しかし、だからといって未加入や未納でいると、大きな損をしてしまいます。

年金保険料は無理をしてでも払うほうがよい

サラリーマンやサラリーマンの夫を持つ主婦(サラリーマンの妻を持つ主夫)は、厚生年金保険の第3号被保険者に該当するケースが多く、仕組み上、年金未加入や未納が発生しにくいのですが、自営業者、フリーランス、非正規社員やその配偶者である主婦(主夫)は、それぞれが国民年金保険料を毎月支払う必要があります。生活が苦しくなると、年金保険料の支払いは後回しになる、という人もいます。

 

しかし他の出費を切り詰めてでも、年金保険料は払ったほうがよいです。年金を受け取れるようにするためには、最低10年保険料を納め続ける必要があります。どんなに苦しくても、とにかく10年は納めるようにしましょう。

 

「それでもどうしても難しい」という場合は、「保険料免除制度」「納付猶予制度」という2つの制度があります。どうしても経済的に納付が困難な場合、申請すれば保険料の支払いを、一部あるいは全額、免除あるいは猶予してもらえる制度です。事情によって、全額、4分の3、半額、4分の1の免除があります。

 

たとえ保険料を免除されても、将来年金を受け取る年齢になったとき、たとえば全額免除の期間分も「2分の1の年金」を受け取ることができます。なぜなら国民年金の2分の1は、税金で賄われているからです。財源が保険料ではなく、税金なのです。

 

未納にしてしまうと、たとえ納税していても、本来受け取れる分でさえ受け取る権利を失ってしまい、税金の払い損になってしまいます。

投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側

投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側

鹿子木 健

自由国民社

だれでもカンタン、ほったらかし投資でFIRE、ネコでもわかる、一生お金に困らない、お金が勝手に増えていく、今なら間に合う、今日から始めよう…等々。 世の中には投資を勧めるフレーズが溢れています。 2022年からインフ…

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