建物の品質がひと目で分かる「入隅」の仕上げ
ポイント⑪ 住宅に入ったらまず角を見る
家の快適さは、室内の仕上げで決まります。不具合を感じながら暮らしていくことは、大きなストレスになりますし、小さなイライラが募って家族間に不和を生む原因になるかもしれません。
せっかく新築の家を購入したにもかかわらず我慢を強いられる羽目にならないように、事前に厳しくチェックしていきましょう。そのための見分けるポイントを解説していきます。
住宅の内覧などを行う際に、皆さんでも建物の品質、職人の腕を見分けられるポイントがあります。玄関を入ったら、まず「入隅(いりずみ)」を見てください。入隅とは、部屋の角の隅のことを指します。この部分の角材の結合箇所に不自然な隙間ができていないかをチェックするのです。
入隅には建築に携わった職人の腕が表れます。隙間が開いている場合は、言葉は悪いですが、経験の浅い下手な職人であるか、もしくは時間がなくて雑に済ませているかのどちらかである可能性があります。大きな問題ではなくとも、家全体の仕上がりをチェックするためには、最初に見ておきたい場所です。
専門家である私たちはもちろんですが、建築に詳しい人なら、初めての家ではまず、「入隅」から見ます。良い家か、雑に建てられた家かを見極める箇所といっても過言ではありません。また、クロスを貼る際に入隅に継ぎ目ができてしまっている場合も多いので、隙間が開きすぎているとさらに目立ちます。
木は含有している水分量によって伸縮しますから、冬の乾燥している時期と梅雨時では隙間の開き具合も違ってきます。見る時期によって、ある程度の動きはあることを考えのうちに入れておく必要があるでしょう。
新築なのに「出隅の隙間」が開いていると質が低い!?
住宅の角の引っ込んだほうを「入隅」と呼ぶのに対して、出っ張った角は「出隅(ですみ)」といいます。この「出隅」や「入隅」部分の角部分の巾木や廻まわり縁ぶちなどは、左右の木材を斜め45度にカットして突き合わせるのが本来の職人の手法です。
しかし、職人によっては、この手法をもとから知らないのか、斜めにカットする手間を省きたかったからなのかはわかりませんが、直線にカットした面を垂直に合わせている場合があります。
これは欠陥とまではいいませんが、新築であるにもかかわらず出隅の隙間が大きく開いているのは質の低い家であるひとつの目安です。経験の浅い職人が造った、工期の短い家だということが一目でわかってしまいます。
長く住んでいるうちに家が揺れたりすることで、少しずつ隙間はできるものですから、中古住宅の場合は、ある程度の隙間があって当然です。ただし、極端に開いているものは論外です。
建物の入隅や出隅の隙間は、よほどひどい状態でない限りは見た目の問題だけで済みますので、同色系のコーキング材で補修してもらえば大きな問題にはなりません。