違反者への刑事罰等とそれを課するための手続
不正競争防止法は、被害者保護のための民事上の救済措置にとどまらず、刑事罰等とそれを課するための手続についても定めています。
ここでは、主に刑事罰の内容について解説します。
先述した不正競争に該当する10の行為類型のうち、以下については、不正競争防止法で独自の刑事罰が定められています。
1.周知な商品等表示の混同惹起
2.著名な商品等表示の冒用
3.他人の商品形態を模倣した商品の提供
4.営業秘密の侵害
6.技術的制限手段の効果をさまたげる装置等の提供
8.商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示
また、法人・個人事業主の役員・従業員等がこれらの事実につき刑事罰を負う場合、「両罰規定」といって、その雇用主(法人・個人事業主)も原則として罰金刑が課されることになっています。「両罰規定」といいます。
今回、カッパ・クリエイト社本体が起訴されたのも、この両罰規定に基づいています。
雇用主は、罰金刑を免れたければ、従業者等の選任・監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くしたことを立証しなければなりません。
かっぱ寿司の事件の被疑事実は営業秘密侵害罪にあたり、「5億円以下の罰金」が規定されています。一連の行為は社長みずからが主導したとされており、もしも社長が刑事罰を問われる場合、会社が刑事責任を免れることは困難と考えられ、会社にも億単位の罰金刑が課される可能性があります。
しかも、この罰金刑は、被害者に対して支払わなければならない損害賠償金とは別個に支払義務を負うものです。
軽い気持ちで犯罪を犯してしまうことも
このように、不正競争防止法は、公正な競争を阻害する可能性がある行為類型を広く対象としています。
また、被害者に対する手厚い民事上の救済措置を定めているのみならず、行為類型によっては違反した場合の刑事罰も定めている上、雇用主の会社等に対しても重い罰金刑を課しています。
転職が当たり前のこととなりつつある今日、かっぱ寿司の件は決して他人事ではありません。
特に、同業種のなかで転職をする場合、前職の取引先や顧客に関する情報や、営業上の機密情報などの扱いを誤ると、損害賠償責任を負うだけでなく刑事責任まで問われ、そのうえ、新しい勤務先も罰せられる可能性すらありますので、重々注意する必要があります。
\1月20日(火)ライブ配信/
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