全国の自衛官、23万人超…意外と多い印象だが
ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、国際情勢は緊張続きです。否が応でも「国防」というワードに関心が高まりますが、その最前線に立たされているのが自衛隊の人々です。
全国の自衛官は23万754人(防衛省『自衛官の定員及び現員』)。陸上自衛隊が13万9,620人、海上自衛隊が4万3,435人、航空自衛隊が4万3,720人という構成です。
この数字を見ると相当な人数に思われるかもしれませんが、世界的にはさほど多くありません。充足率は92~95%程度と、やや人手不足といえる状況です。
★主要国の兵力
■陸上兵力
1位 インド…124万人
2位 北朝鮮…110万人
3位 中国…97万人
4位 米国…67万人
5位 パキスタン…56万人
6位 イラン…50万人
7位 韓国…42万人
8位 ベトナム…41万人
9位 ミャンマー…33万人
10位 ロシア…33万人
――――――――――
※ 日本…14万人
■海上兵力(艦艇トン数)
1位 米国…726万トン
2位 中国…224万トン
3位 ロシア…207万トン
4位 英国…72万トン
5位 インド…46万トン
6位 フランス…38万トン
7位 韓国…28万トン
8位 インドネシア…28万トン
9位 イラン…27万トン
10位 イタリア…26万トン
――――――――――
※ 日本…51万トン
■航空兵力(作戦機数)
1位 米国…3,500機
2位 中国…3,030機
3位 ロシア…1,530機
4位 インド…890機
5位 韓国…660機
6位 北朝鮮…550機
7位 エジプト…530機
8位 台湾…520機
9位 サウジアラビア…470機
10位 パキスタン…440機
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※ 日本…360機
出所:防衛省『令和4年版防衛白書』より
活躍する姿に好印象を抱いても、就職先としては…
相次ぐ災害で活躍する姿や、緊張感の高まる国際情勢から、自衛隊に好印象を抱く人が増えているといえます。
2018年の内閣府による世論調査でも、自衛隊の印象を聞いたところ、「良い印象を持っている(「良い印象を持っている」「どちらかといえば良い印象を持っている」の合計)」が89.8%と、9割弱もの人が好印象を抱いているという結果になりました。
しかし、身近な人が自衛官になることについては「賛成(「賛成する」「どちらかといえば賛成する」の合計)」が62.4%。危険な任務に従事し、有事の際にはなお一層リスクが高まるという懸念から、「印象のよさ」との乖離があるのではないでしょうか。
自衛官の「任務」と「給料」バランスはとれているのか
様々な状況を鑑み、自衛隊の防衛装備品などの更新に多くの予算が計上されている一方で、自衛官の給与等や住居等に対する費用は圧縮傾向にあるといいます。
自衛官は特別職の国家公務員であり、民間企業にあたる俸給が支給されます。2022年度の募集要項によると、大学や大学院卒業者・見込み者を対象とした一般幹部候補生の場合、大学卒業程度試験に合格で初任給は22万6,500円(修士課程修了者等以外)。大学院卒業程度試験に合格すると24万7,500円です。
また、選抜試験によって幹部に昇任することもある一般曹候補生の初任給は、高卒で17万9,200円、大卒で19万8,100円。さらに任用期間が2~3年単位で区切られている自衛官候補生の場合、最初の3カ月間は14万2,100円。その後2士に任官となると、高卒であれば17万9,200円、大卒であれば19万8,100円となります。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、新規学卒者の給与は、
高卒:17万9,700円
大卒:22万5,400円
大学院卒:25万3,500円
となっています。この金額から、自衛官の初任給は民間企業と同程度といえるでしょう。
なお、基本給にあたる俸給は「階級」と勤続年数や仕事への評価である「号俸」によって決定されます。号俸は1年に4号ずつ上がるのが一般的で、各階級の俸給に幅はありますが、民間企業でいう係長クラスである曹や士は月額23万~42万円程度(曹長)、課長クラスである尉官は月額28万~45万円程度(1尉)、部長クラスである佐官は月額46万~55万円程度となっています(1佐(1))。
さらに年4カ月分ほどの期末・勤勉手当、扶養手当、災害派遣手当や飛行手当など、自衛隊ならではの手当も加算されます。40代のモデル年収として、准曹自衛官で約640万円、幹部自衛官で約870万円程度。特殊な職務から、一般的な国家公務員よりも給与は高いといえます。
しかし、身近な人に自衛官となることを積極的に勧められるかというと、どうでしょうか。命を危険にさらし、厳しい任務に就く自衛官という仕事が、そもそも「国家公務員よりもちょっといい」という程度の待遇でいいのかどうか、議論の余地があるのではないでしょうか。
幻冬舎ゴールドオンライン編集部
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