「かっぱ寿司事件」は他人事じゃない!「不正競争防止法」とは (※画像はイメージです/PIXTA)

2022年9月30日に「かっぱ寿司」の運営会社の社長らが逮捕され、10月3日には会社自体が書類送検されました。容疑は「不正競争防止法」違反です。社長は犯罪の認識が希薄だった可能性があり、誰もが知らず知らずのうちに不正競争防止法を犯すリスクがあります。そこで、そもそも不正競争防止法とはどのような内容なのか、今回の事件についても触れながら、ポイントを解説します。

不正競争防止法とはどんな法律か?

不正競争防止法は、事業者間の公正な競争等を確保することを目的として、不正競争を防止するためのルールや、不正競争に係る損害賠償や刑事罰等を定める法律です。

 

法律の定めは、大きく分けて、以下のような構成となっています。

 

・不正競争にあたる行為の定義

・国際約束に基づく禁止行為

・被害者保護のための民事的措置に関する特別ルール

・違反者への刑事罰等とそれを課するための手続

 

以下、それぞれについて順を追って説明します。なお、「国際約束に基づく禁止行為」は特殊なものなので割愛します。

不正競争にあたる行為の定義

まず、どんな行為が不正競争にあたるかを定めています。公正な競争を侵害する10の行為類型を広く規制しています(経済産業省HP「不正競争防止法の概要」参照)。

 

1.周知な商品等表示の混同惹起(刑事罰あり)

2.著名な商品等表示の冒用(刑事罰あり)

3.他人の商品形態を模倣した商品の提供(刑事罰あり)

4.営業秘密の侵害(刑事罰あり)

5.限定提供データの不正取得等

6.技術的制限手段の効果をさまたげる装置等の提供(刑事罰あり)

7.ドメイン名の不正取得等

8.商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示(刑事罰あり)

9.信用毀損行為

10.代理人等の商標冒用

 

◆他人のフンドシで相撲を取るのはNG

「1.周知な商品等表示の混同惹起」「2.著名な商品等表示の冒用」「3.他人の商品形態を模倣した商品の提供」「7.ドメイン名の不正取得等」「10.代理人等の商標冒用」は、いわば他人のフンドシで相撲を取る行為をさします。

 

これらによってあたかも他人の商品・サービス・事業等と誤信させて利益を得る行為に網をかけているのです。

◆機密情報等の不正入手・使用等はNG

「4.営業秘密の侵害(刑事罰あり)」「5.限定提供データの不正取得等」「6.技術的制限手段の効果をさまたげる装置等の提供」は、他人の事業上の機密情報を不正に入手、使用、第三者に開示する行為をさします。

 

かっぱ寿司の事件で問題となっているのはこれらのうち「4.営業秘密の侵害」です。

 

被疑事実は、ライバル会社の「はま寿司」を退職する直前に仕入価格や仕入れ先等、営業秘密に属するデータを持ち出したのに加え、カッパ・クリエイト社の社長に就任後も、はま寿司の従業員からメールでそれらの情報を入手していたというものです。

 

それらの情報は事業活動の根幹にかかわる機密情報であり、「営業秘密の侵害」にあたります。

◆品質偽装等はNG

「8.商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示」は、商品の品質等を誤信させることをさします。

 

他の事業者よりも不当に優位な立場に立てる可能性がある行為に網をかけています。

◆競争相手の信用を毀損する行為はNG

「9.信用毀損行為」は、競争相手の信用を害したり、虚偽を流布したりする行為をさします。

 

このように、不正競争防止法は、公正な競争を阻害する行為類型について広く規制しています。

被害者保護のための民事的措置に関する特別ルール

次に、被害者保護のための民事的措置に関する特別ルールについて解説します。

 

不正競争にあたる行為があった場合には、もともと、民法上の不法行為を原因とする損害賠償請求(民法709条)がありますが、それは事後的な救済にとどまります。

 

また、時間や費用がかかり、そのうえ、権利侵害・違法性・損害額等の立証責任は被害者側にあります。

 

したがって、民法の規定だけでは、違法行為の抑止や被害者の救済には不十分です。

 

そこで、不正競争防止法では、不正競争を抑止し被害者を救済するための民事的措置として、以下の4種類を定めています。

 

1.事前の救済制度:差止請求等

2.損害賠償請求における立証責任の緩和

3.商品名等を誤信させる行為につき使用許諾料相当額の請求を認める規定

4.信用回復措置請求

 

◆民事救済ルール1.事前の救済制度:差止請求等

事前の救済制度として、営業上の利益の侵害に対し、被害者からの差止請求ができることを定めています。

 

また、侵害のおそれがある場合における予防請求も認めています。

 

被害者は侵害の事実または侵害のおそれがあることを証明すれば足り、侵害者の側の「故意」「過失」等まで立証する必要はありません。

◆民事救済ルール2.損害賠償請求における立証責任の緩和

また、立証責任についても、被害者の負担を軽減する規定がおかれています。

 

すなわち、被害者が営業上の利益を侵害された場合、その侵害行為による損害額の算定は困難です。

 

たとえば、侵害者が類似商品を販売した場合、被害者は、それによる損害、すなわち本来得られたはずの売上高がどれほどのものかを算定することや、損害と侵害行為との因果関係を厳密に立証することは困難です。

 

そこで、不正競争防止法は、被害者の損害額を類似商品等の販売額とイコールだとみなす規定や、侵害行為と被害者の損害との間に因果関係が「ないこと」につき侵害者に立証責任を負わせる規定等を置いています。

 

また、そのために必要な手続等についても定めています。

 

今後、くら寿司社からカッパ・クリエイト社に対し、民事上の損害賠償請求が行われるのであれば、損害額は莫大な額になる可能性があります。

◆民事救済ルール3.商品名等を誤信させる行為につき使用許諾料相当額の請求を認める規定

商標や商品名等を誤信させる行為があった場合に、「使用許諾料」を請求することを認める規定が置かれています。

◆民事救済ルール4.信用回復措置請求

被害者が、侵害者に対し、損害賠償だけではなく、被害者の信用を回復するために必要な措置をとるよう請求できると規定されています。

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